欧州SAPは2018年6月にCRM(顧客関係管理)ソリューションを刷新し、「SAP C/4HANA(シーフォーハナ、以下C/4HANA)」にブランドを変更した。「製品自体のコンセプトを変えて、お客様のカスタマーエクスペリエンスを高めるところに特化させた」――。SAPジャパンのSAP Customer Experience ソリューション事業本部事業本部長 高山勇喜氏はこう話す。SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージの「SAP S/4HANA(エスフォーハナ、以下S/4HANA)」に合わせ、カスタマー(顧客)の「C」を付けてC/4HANAとした。
ブランド変更は、コマース機能からスタートした旧ブランド(Hybris)からの脱却という狙いもあったという。「CRMソリューションとしてマーケティング機能やコールセンター機能などを内包したが、コマースの印象が強すぎてお客様から疑問を持たれることが少なくなかった」(高山氏)。今回の名称変更でCRMソリューション名はC/4HANAとし、組織名にはカスタマーエクスペリエンスの名を冠した。
SAPにとって「極めて異例」な外部連係機能
C/4HANAは大きく五つのソリューションで構成する。具体的には
- MA(マーケティングオートメーション)機能やDMP(Data Management Platform)機能などを備えOne to Oneマーケティングを支援する「SAP Marketing Cloud」(図中1)
- 「旧Hybris」の機能を含むデジタルコマースソリューション「SAP Commerce Cloud」(図中2)
- SFA(営業支援システム)の「SAP Sales Cloud」(図中3)
- コールセンター機能をはじめ、製品を購入した顧客をサポートする「SAP Service Cloud」(図中4)
- 顧客データの管理に特化した「SAP Customer Data Cloud」(図中5)
である。基幹業務(バックエンド)を担当するS/4HANAに対してC/4HANAをフロントエンドと位置づけ、一貫した顧客体験を提供していく。