コクヨは2018年8月に、法人向け空間構築ビジネスにマーケティングオートメーション(MA)を導入し、見込み客の獲得から営業への引き継ぎまでをデジタルで支援する仕組みを整えた。「お客様の購入意欲向上を、営業担当に代わってマーケティング担当がどこまでできるかを試行錯誤している」とコクヨ ファニチャー事業本部 マーケティング本部 販売マーケティング部 法人第1グループの岸健二氏は話す。まずイベントの集客管理にMAを活用して、大手企業向けイベントの来場社数を前年の3倍に高めるなどの成果を挙げた。
パッケージソフトになじまない業務の複雑さ
コクヨのファニチャー事業本部は、オフィス家具の製造・販売のほか、企業のオフィスなどの空間構築ビジネスを手がけている。空間構築とは、照明や床、天井といった内装や、机や椅子、ロッカーなどのオフィス家具の設置、そして目に見えない室内配線なども対象となる。
一つの案件に要する期間は総じて長いが、新ビルの建築に伴うオフィスの新装のように4~5年を要する案件や、3カ月程度の短期間でオフィスの一角を作り直す案件、そして社内の椅子を全部入れ替えるだけの案件といったように多岐にわたる。「お客様からの案件の内容や規模、期間に同じものはない」(同事業本部 顧客フロント事業部 営業推進グループ主任の泉智子氏)。
商材はオフィス家具など在庫があるものだけでなく、顧客に合わせて特別仕様で作るものもあり、案件ごとに納品物が変わってくる。一般的なパッケージソフトになじまない業務の複雑さと多様さがある。
同事業本部は2016年12月にSFA(営業支援システム)としてセールスフォース・ドットコムの「Sales Cloud」を導入した(図1)。営業担当者の活動状況をモバイル経由で報告する機能のほか、名刺管理システムと連携した顧客情報や売り上げ実績情報などを営業担当者が利用できるようにしている。