日立製作所は2019年6月にコーポレートサイトをリニューアルし、訪問客が情報を探しやすく日立の持ち味を伝えられる構成に作り変えた。さらにマーケティングオートメーション(MA)の機能で訪問者にパーソナライズした情報を提供。スムーズに事業部門サイトに送客し、営業活動につなげる取り組みも始めている。
「コーポレートサイトに訪れたお客様を事業部門に送り、そこで情報を活用できるようになれば、日立全体の営業活動が変わるかもしれない」――。ブランド・コミュニケーション本部 デジタルコミュニケーション部 デジタルプランニンググループ 部長代理の米山卓美氏はリニューアルの狙いをこう話す。
グループ内にITのほかエネルギー、鉄道、金融、ビルなどの事業を抱え、家電品も扱う日立のコーポレートサイトには、多様な目的を持ったアクセスが集まる。しかし各部門が独自にサブサイト(製品・サービス単位のページ群)を作ってきた経緯から「お客様視点を欠いたコンテンツや導線になっていた」(米山氏)。
デザインをシンプルにし事業部門に送客
こうした課題を解決するため2018年4月に、コーポレートサイトのリニューアルに着手した。当時は、グループ企業を合わせて1000以上のサブサイトが存在しており、トップページの直帰率(最初に見ただけでページを離れてしまう訪問客の割合)は50%を超えていたという。
しかも会社として力を入れている「SIB(社会イノベーション事業)」や、売上高が1兆円を超え同社によるデジタル改革の旗頭となった「Lumada(ルマーダ)」事業が目に入りづらいなど、日立がアピールしたい情報をうまく伝えられていない状況にあった。
リニューアルによってコーポレートサイトは大きく二つの変化を遂げた。一つは情報過多になっていたトップページについて、訪問者が情報を探しやすいようデザインをシンプル化したこと。もう一つは訪問客を属性に応じて事業部門サイトに送客する仕組みを取り入れたことだ。