「BtoBマーケティングに携わってきた身として、マーケティングと営業は一つのチームになるべきだと感じている」――。マーケティングオートメーション(MA)製品「Pardot(現Salesforce Pardot)」を開発した米パードット 1の創業者で、現在は米セールスフォース・ドットコムのエグゼクティブバイスプレジデント&ゼネラルマネージャーとしてSales Cloudを担当するアダム・ブリッツァー氏はこう話す。

 セールスフォースは2019年2月、Pardotを「Salesforce Lightningプラットフォーム」に統合した「Pardot in Salesforce Lightning」の提供を開始した。営業担当者はPardotで収集した見込み客のアクティビティを、全てSales Cloudから詳細まで確認できるという。

「リードの質」を求められるマーケティング部門

 日本にMAツールが広がって約5年が経過し、MAを使うマーケティング部門とSFA(営業支援システム)を利用する営業部門の関係に変化が見えている。インサイドセールスチームを組織し、購入意欲が高まった見込み客をリードとして営業部門に引き継ぐ前に、営業確度を高めようとする例も増えた。

米セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント&ゼネラルマネージャー Sales Cloud担当 アダム・ブリッツァー氏
米セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント&ゼネラルマネージャー Sales Cloud担当 アダム・ブリッツァー氏
[画像のクリックで拡大表示]

 両部門の関係についてブリッツァー氏は「マーケティング部門は『渡したリードの件数』ではなく、『営業に渡した後の業務(パイプライン)や売上額』で評価されるようになってきた」と話す。マーケティング担当は、リードを営業部門に引き継ぐだけでなく、引き継いだリードの質、つまり営業確度の高さや得られた売り上げを問われるというのだ。

 このためマーケティング部門は、顧客との接触から購入までの全ての行程(カスタマージャーニー)に意識を払うようになる。別々のシステムだったMAとSFAの関係も変化していく。顧客データベースには、プロフィール情報にとどまらず、様々なチャネルから集めた製品・サービスへの関心度合いや営業担当者が顧客とのやり取りで得た具体的な情報、成約時に想定されるビジネスの規模などが記録され、どちらの部門からも参照できる機能を求められる。

 ブリッツァー氏はPardot in Salesforce Lightningについて「マーケティング担当者が営業担当者が使うのと同じシステムを使えるようにするものだ」と説明する。ユーザーインタフェースを統合しており、担当者の経験(エクスペリエンス)はSalesforceと同じものになるという。

 ただしマーケティング担当にも営業担当にも個別の業務があるため、各担当が操作する画面は別個に用意する。マーケティング担当者はかつてのMAと同じように、メールを送って顧客にアプローチしたり、購入意欲を高めたりするという業務に専念できる画面を使う格好になるという。


1 2007年に創業したBtoBを対象としたMA(Pardot)を提供するベンダーで、2012年に米イグザクトターゲットに買収された。2013年にイグザクトターゲットがセールスフォースに買収され、PardotはセールスフォースのBtoB向けMA「Salesforce Pardot」となった。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。