法人向けクラウド名刺管理サービスを展開するSansanは、既存顧客との長期的な関係を収益向上に役立てる「カスタマーサクセス(CS)」に6年前から取り組んできた。カスタマーサクセス部門のプロフィットセンター化を既に終えており、2018年11月末には海外製の専用ソフト「Gainsight(ゲインサイト)」を正式導入する。
カスタマーサクセスの考え方は、利用したことに対価を支払う「サブスクリプション型」サービスの拡大に合わせて広まっている。海外のSaaS事業者などが唱え始めたが、日本企業では「カスタマーサポート」との業務の重複もあって、専門組織を立ち上げる例はまだ多くない。その価値に早くから目を付け、具体的な取り組みを進めてきた同社Sansan事業部 カスタマーサクセス部 部長 兼 運用コンサルティンググループ グループリーダー小川泰正氏に、作り上げたカスタマーサクセス組織とその仕組みを聞いた。
カスタマーサクセス部はサッカーでは「ボランチ」
「サッカーで攻守の要となる『ボランチ』ですね」――。小川氏はSansanのカスタマーサクセス部をこう説明する。
カスタマーサクセス部は、既存顧客に向けたサービスの舵取りをする役割を担っている。カスタマーサクセス部を中心として、名刺入力の手助けなどでサービスの定着を図る「業務企画」やインサイドセールスを担う「セールスディベロップメント部」、さらに「マーケティング部」や「営業部」、「プロダクト開発部」、そして顧客から問い合わせに対応する「サポート部」の六つの部門が関わる体制を敷いている(図1)。