「シスコシステムズは技術の会社として知られてきたが、最近はお客様の体験(カスタマーエクスペリエンス)向上を含めた近代化を迫られている」――。シスコのアジア太平洋・日本地域 マーケティング担当バイスプレジデントを務めるマーク・フィブス氏はこう話す。
シスコシステムズは、かつての“ネットワーク機器ベンダー”から、クラウドやコラボレーション、セキュリティ、IoT(Internet of Things)などを核とした多角的IT企業への進化を志向している。そのための手法の一つが、サービスなどの従量課金による提供(サブスクリプション)である。フィブス氏は10年以上在籍したアドビ システムズ時代に、アプリケーションのパッケージ販売から、サブスクリプションモデルへの移行に携わった。同氏はアドビで培った経験を、シスコでどう生かしていくのか。
「イベントを重視しすぎた」マーケティング活動
強力なエンジニアリングを背景にした営業に強みを持っていたシスコは現在、マーケティングも営業と肩を並べられるレベルへと高めようとしている。同社が掲げた「ビジョン」では、「リアルタイムで個別化されたマーケティングとコミュニケーションで革新的なリーダーになる」と明記している。
フィブス氏は「従来のマーケティング活動は、イベントを重視しすぎた」と話す。具体的には、以下の6項目を挙げ力を注ぐ。
- 見込み客を呼び込んで購入意欲を高めていく「Revenue Marketing」
- コンテンツを駆使した「Content Marketing」
- パートナーのマーケティング活動を支援する「Partner Marketing」
- 将来を見通した知見を提示し、社会や顧客からの共感を得る「Thought Leadership」
- データサイエンティストが創造性と科学を組み合わせる「Data-driven Marketing」
- オンラインでの製品購入を望む顧客に応える「E-Commerce」
背景にはBtoB企業でも57%が、営業担当者と会う前に製品購入の意思決定をしていることがある。マーケティング活動を効率化しないとビジネスを展開できないのだ。