オリックスは、2005年にインサイドセールス組織を立ち上げ、2014年にマーケティングオートメーション(MA)を導入した。MAを導入した後にマーケティングとセールスの連携を強固にするためインサイドセールスの体制を整備するのではなく、インサイドセールスによるアプローチを強化するためMAを活用した格好だ。
長年にわたり蓄積してきたインサイドセールスの知識やノウハウを、営業成果を上げるためにどう活用したのか。オリックス 広域事業部 マーケティング第一チーム ユニットリーダー 津崎真也氏に、インサイドセールス業務の詳細を聞いた。
いち早く実践してきたインサイドセールス
オリックスがインサイドセールスを担当する広域事業部を立ち上げたのは、2005年12月に遡る。その成り立ちの背景には、「グループ全体でしばらく取り引きのない“休眠顧客”を掘り起こし、関係を再構築する狙いがあった」と津崎氏は話す。当時の経営陣が問題視するほど、取り引きが途絶えた顧客の数が増えたため、海外で成功していたインサイドセールスの手法を日本に持ち込んだのだ。
当初は、売り上げを増やすという発想はなく、「電話で顧客との距離感を徐々に縮めることを重視してきた」(津崎氏)。スキルが十分に蓄積されてきた今も、売り上げ拡大よりも顧客との関係維持にインサイドセールスの主目的を置いている。
広域事業部は、金融サービスを主な商材として、全国7万社を対象としている。研修やマネジメントの効率を考え、インサイドセールス機能を千葉市・幕張に機能を集約し、3チーム/16ユニットからなる100人体制を敷いた。その役割は顧客の課題を聞き取ることとし、その先の解決策を提示する営業(フィールドセールス)担当と分けている。
インサイドセールスの担当者は、定期的に顧客に電話でコンタクトをしてニーズを探っていく。電話をかける対象の多くは従業員数100人以内の企業の経営者であり、直接的なコミュニケーションを取ることを最重要視している。