セールスフォース・ドットコムは2018年6月、人工知能(AI)のSales Cloud Einstein(アインシュタイン、以下Einstein)を使った新機能である「Einstein Forecasting(売上予測)」の提供を開始した。日本では本日公開のSalesforce Summer ’18 Release で利用できるようにした。

米セールスフォース・ドットコムのエグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏
米セールスフォース・ドットコムのエグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏
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 EinsteinはSales Cloudに組み込まれて提供されるため、利用者にはAIに関わる専門知識は必要ない。CRM上にあるデータを利用して、営業プロセスの効率化や自動化が可能になる。

 セールスフォースは「Einstein Lead Scoring(リードスコアリング)」と呼ぶ、見込み客を自動的に得点化して効率的な営業活動を支援する機能と、「Einstein Opportunity Scoring(商談スコアリング)」と呼ぶ、商談の有望性を数値化して営業リソースを効果的に投入できるようにする機能を提供してきた。

 今回提供した売上予測では、Sales Cloudで扱う見込み客の情報や商談情報、営業チームの情報などを加味することで、営業マネージャーが売り上げを予測できるようにする。自分のチームの各担当者の商談状況を把握でき、過去の商談成約状況や行動を加味して、目標数値にどの程度の数値を追加できるかなどを推定できる。

 営業担当者は通常の業務にSales Cloudを使うだけで、予測のためにデータを別途入力する必要がない。さらに営業担当者が使うe-mailとカレンダーから商談についてのデータを自動的にひも付けできる仕組みを加えた。

 「CRMはいずれユーザーに見えなくなる」と、米セールスフォース・ドットコムのエグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー Sales Cloud担当のアダム・ブリッツァー氏は話す。AIの活用で変わる営業現場の未来像を示し、将来は電話でのやり取りのような非構造化データまでも売上予測に反映することを示唆した。

 セールスフォースは、売上予測の機能を1年前から社内で利用してきたという。自分たちで利用することで精度が高い予測ができることを確認し、「どの案件を支援すべきか」「この地域はうまくいっている」といったことを一目で把握できるようになったという。