米アドビ システムズは、高度にパーソナライズした顧客体験(Customer Experience)の提供を加速させる狙いから、データ活用のための基盤整備を進めている。その核となるのが、同社が定義したシステム用言語「Experience Data Model(XDM)」である。顧客プロファイルや提供するコンテンツ、その提供ルールといった多様なデータの定義を固め、共通化を図ることで自社製品にとどまらない「データ活用」を目指している。
「Experience SoR」を実現するための基盤
XDMとは、顧客体験を重視したアプリケーションを展開するためにアドビが開発した言語である。定義したデータを、各種アプリケーションと連携させることにより、顧客とのコミュニケーションを高度化させたり、インサイトを獲得したりできるようにする。
アドビは2017年のイベント「Adobe Summit 2017」で、「エクスペリエンス」を核にエンタープライズ向けのクラウドを再編していくことを発表し、顧客体験の向上を強く訴えた。それ以降、XDMによって共通化した顧客体験を設計できるようにしてきた。
XDMの実体はデータの構造(スキーマ)に当たるもので、XML(Extensible Markup Language)に似た構造を持っている。顧客体験のために使うデータを大きく「Profile」(名前や住所などの顧客情報、ロイヤルティなど)、「Offer」(提供するコンテンツ、サービスなど)、「Rule」(サービス提供のきっかけ、セグメントなど)の三つに分類し、それぞれをブレイクダウンして個々の項目を定義している。
アドビは、2018年4月に開催した「Adobe Summit 2018」で、次世代の顧客体験を提供する要件として、体験提供に特化したデータモデル「Experience System of Record(SoR)」が必要になると説明していた。