京セラのファインセラミック事業本部は、Webサイト経由で受けた問い合わせ(引き合い)の約3割を受注に結びつけている。このWebサイトは「お客様が解決策にたどり着けるつくり」、「Web経由の引き合いからの成果が分かる仕組み」、「営業部門とマーケティング部門が密接に関わる文化」を備えており、創業者の稲盛和夫名誉会長が唱える経営管理手法「アメーバ経営」の実践例ともいえる。

京セラ ファインセラミック事業本部 事業本部室 事業推進部責任者の高木浩次朗氏
京セラ ファインセラミック事業本部 事業本部室 事業推進部責任者の高木浩次朗氏
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 「サイト開設の予算折衝をしたときに、上司に『Webからの引き合いが受注につながった事実をしっかりと追って、受益者に効果が出ることを肌で感じてもらう仕事をしなさい。これが京セラのアメーバ経営だ』と指導を受けた」――。

 開設から約10年、ファインセラミック事業本部のWebサイト運営に携わる事業本部室 事業推進部責任者の高木浩次朗氏は、当時をこう振り返る。「営業担当からは面倒くさがられたが、徹底的にやってきたことが現在につながっている」(高木氏)。

 Webサイト経由の問い合わせは、高い受注を期待できるものとして営業現場に認知されている。米国の営業担当者に実施したアンケートでも、「新規開拓で一番重要なのはWebサイト経由の引き合いである」という回答を得られた。

「ファインセラミックスをあらゆる産業に浸透させたい」

 ファインセラミック事業本部は、京セラの創業事業を受け継いでおり、社内で重責を担っている。高木氏は、「ファインセラミックス分野でのリーダーシップを示すWebサイトを作ることが京セラのためであり、ファインセラミックスの啓発活動の重要な部分を占める」と話す。

 現在のファインセラミック事業本部が主に担当するのは、BtoB企業向けの産業機械部品である。ファインセラミックスを応用した「半導体関連部品」や「電子デバイス」などは、だいぶ前に枝分かれして、単独の事業として独立している。

 産業機械部品は顧客のニーズに合わせて製品を作る「カスタムオーダー品」がほとんどで、先行して製造しておき、在庫となった製品を売るモデルとは異なる。「お客様と交渉を始めてから、受注が決まるまでに半年以上かかるケースもある」(高木氏)。

  セラミックス(非金属の無機材料を高温で焼き固めたもの)のうち、原料や製造プロセスを精密に管理・制御して作られたものをファインセラミックスと呼ぶ。硬さや耐熱性などの特性を持たせることで、各種産業が求める用途に応用できる。

 しかし、高木氏は「ファインセラミックスそのものの認知度はそれほど高くない」と言う。

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