例年、年末年始は不正アクセスやデータ流出といったセキュリティ関連のインシデントが起きやすい時期でもある。休暇前のデータバックアップや緊急時の連絡先確認を進めている企業も少なくないだろう。
こうした足下の対策と合わせて検討しておきたいのが、「ビジネス環境の変化を踏まえた、中長期的な観点からのセキュリティ対策」である。今回も、年商500億円未満のユーザー企業を対象としたアンケート調査結果を手掛かりに、このテーマについて考えていくことにしよう。
ビジネス環境のさまざまな変化がセキュリティに影響
下のグラフは年商500億円未満の企業1300社に対して、「セキュリティを含めた守りのIT支出を増加させる要因となるビジネス環境変化」を尋ねた結果である。
今後のセキュリティ対策に影響を与えるビジネス環境の変化は法制度、労働環境、自然環境と多岐に渡っている。本調査では、「ビジネス環境の変化」として以下の7つの選択肢を用意した。
「働き方改革に伴うモバイルワーク推進」
タブレットやスマートフォンを活用した社外での業務に伴う業務システムの環境整備
「働き方改革に伴うテレワーク推進」
テレワーク(在宅勤務やサテライトオフィス)の増加に伴う業務システムの環境整備
「消費税率改正と軽減税率」
2019年10月予定の消費税率10%への改正と軽減税率導入に向けた業務システム更新
「GDPR(EU一般データ保護規則)」
EUと関連するビジネスを行う企業に課せられる情報保護対策(2018年5月施行)
「改正個人情報保護法」
2017年5月に施行された改正個人情報保護法を順守するための環境整備
「外国人労働者の増加」
人手不足の解消を目的とした外国人労働者の増加に伴うIT管理/運用の対策
「局所的な自然災害の増加」
集中豪雨や断層型地震などによる局地的な災害に備えたIT管理/運用の対策
上のグラフで回答比率が高かった項目は、セキュリティ対策を考える上で企業が特に留意すべき点と考えてよいだろう。