IoT(Internet of Things)への企業の取り組みは、考え方やコンセプトを論じる段階から実践段階へと移りつつある。ユーザー企業が自ら、IoTを活かしたシステムを開発し、他社向けに展開するケースも出てきた。

 しかし、IoTの構成要素はセンサー、ネットワーク、アプリケーションなど多岐に亘っており、ユーザー企業がそのすべてを自前でカバーすることは難しい。そこで重要になるのが、「どのようなIT企業と協力していくか」である。今回は、IoTへの取り組みでIT企業を選ぶ際のポイントを探っていくことにする。

IoTは既に実践段階、ユーザーの活用意向も強い

 まず、IoTへの取り組みがどの程度進んでいるのかを確認しておこう。IoTを活かしたシステムには様々なものがあるが、ここではその代表的な例として、「センサーを用いた従業員の作業動線分析ソリューション」についての調査結果を紹介する。

 従業員が携帯するセンサーの動きをデータ化して分析し、工場/倉庫/店舗などにおける現場作業の効率化を図る、というものだが、「従業員の作業状況を把握したい」というニーズは、規模や業種に関係なくほとんどのユーザー企業が持っていると考えられる。IoTの現状を俯瞰するうえではちょうど良い例と言えるだろう。

 下のグラフは「センサーを用いた従業員の作業動線分析ソリューション」の導入意向を売上規模別に集計したものだ。

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 売り上げ5億円未満の企業群では1割弱、5億以上100億円未満の企業群では2割弱、100億以上500億円未満の企業群では3割強が導入意向を示している。

 ここで比較のために、クラウドが登場した頃の状況を振り返ってみる。クラウドが登場したばかりの段階で実施した同様の調査では、「業務システムをクラウドへ移行する」と回答したユーザー企業の割合はおおむね1割を下回った。比較的移行が容易と考えられる情報系システム(メールやグループウエアなど)に対象を絞って尋ねた場合も、2割弱にとどまっていた。このことから、IoTに対する関心の高さがうかがえる。

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