ユーザー企業がIT活用を進めるうえで、ITソリューションを提供する販社やSIerの支援は不可欠だ。ユーザー企業が販社/SIerに何を求めるかによって、IT活用の成否も大きく変わってくる。例えば、いたずらに価格の引き下げばかりを要求しても、導入効果の高いシステムを構築することはできないだろう。
では、ユーザー企業は販社/SIerに対して何を求めるべきだろうか。今回は、1300社のユーザー企業を対象とした調査結果を読み解きながら、この点について考えていくことにする。
「ユーザーが望む見積対応」とはどのようなものか
ユーザー企業が販社/SIerから見積もりを提示されたときに、まず気になることは「この金額は本当に適切か」という点だろう。
以下のグラフは、年商500億円未満のユーザー企業1300社を対象として、プライムの販社/SIerからの「金額提示」に関して望ましいと考える事柄を尋ねた結果である。ここで、「プライムの販社/SIer」とは、「過去3年以内に業務システムを委託/購入したIT企業のうちで、3年間の累計金額が最も高かったもの」と定義している。
グラフの上位に来ているのは、「初期費用だけでなく、保守/サポート費用も事前に明示されている」(46.9%)と「製品やサービスの内訳金額が明示されており、費用の妥当性を判断できる」(35.7%)。「見積金額の提示が迅速で正確である」(29.9%)よりも多い。
ユーザー企業の多くは販社/SIerに対して、「見積金額を素早く提示する」ことよりも、「保守/サポートも含めた包括的な金額提示」や「内訳を明示した納得感のある金額提示」を求めていることが分かる。
この結果から、ユーザー企業は「保守/サポートも含めた包括的な金額提示」を最優先して、販社/SIerに求めていくべきだと判断してよいだろうか。結論を出す前にもう少し詳しく見てみよう。