「ウチの会社では特段、IT活用の必要性を感じないが、それでもITをもっと使った方がよいのですか?」

 時折、ユーザー企業の方々からこのように尋ねられることがある。当然ながら、その企業の規模、業種、固有の背景/事情などによって、答えは変わってくる。ただ1つ言えるのは、「ITと本業の距離感」を意識することが大切だということだ。この「距離感」について今回は考えてみる。

700社に聞いたITと本業の「距離感」

 まず、以下のグラフをご覧いただきたい。これは年商500億円未満の企業700社に、「ITソリューション活用と経営の関係」を尋ねた結果である。「IT活用と本業の密接度」「本業の売り上げとIT投資の相関」の2つの観点から、5通りの選択肢を設けた。以下、例を挙げて説明する。

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 卸売企業が受発注に従量制課金のEDI(電子データ交換)サービスを利用している場合、売り上げが増える(=取引量が増える)につれて、課金額も増える。これは、上記の選択肢では「IT活用は本業に直結しており、売り上げが増えればIT投資も増える」に該当する。

 一方、美容院やネイルサロンがスマートフォンからの予約受付ステムを導入した場合はどうだろうか。美容院やネイルサロンのようなサービス業にとって、予約受付システムは本業に不可欠な要素と言える。だが、先のEDIと違って従量制課金ではないので、売上増(=顧客増)に連動してIT支出が増えるわけではない。従って、このケースには「ITソリューション活用は本業に直結するが、売り上げが増えてもIT投資は増えない」という選択肢が当てはまる。

 このように「ITソリューションが企業のビジネスにどのように関わっているか」、すなわち「ITと本業の距離感」によって大別したのが、上記の5つの選択肢である。上位に挙げた選択肢ほど距離が近く、下位に行くほど距離が遠くなる。なお、回答企業が複数のITソリューションを導入/利用している場合には、全社的な状況から判断して最も近い選択肢を選んでもらった。

 改めて上のグラフを見ると、5つの選択肢に概ね均等に票が分かれている。ここから読み取れるのは、「ITと本業の距離感」は個々の企業によってさまざまであり、どの程度が適当かは一概には言えないということである。

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