最近、ビジネスとITの関わりをテーマとした記事で「DX」というキーワードを目にすることが多くなってきた。「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略称であり、生活のあらゆる場面が情報化/デジタル化することによって起こる大きな変革を指している。

 とは言っても、「DXが騒がれているが世の中が急に変わるわけではないし、IT活用についても当面は現状維持で良いだろう」と考える企業は少なくないだろう。

 確かに慌てる必要はないが、いざ変化が始まったときには即座に行動できるだけの予備知識を持っておくことは大切だ。そこで、今回はデジタルトランスフォーメーションとして注目を集める様々な動きの中から、企業のIT活用に大きな影響を与える可能性があるポイントを確認していくことにする。

今から注目しておくべき3つの環境変化

 デジタルトランスフォーメーションという言葉が示す範囲は非常に広く、ITによってビジネスを変革する取り組み全般を包含した言葉といっていい。その意味で、「人工知能/機械学習」「IoT」「ワークスタイル改革」「RPA」など、昨今注目を集めるITの活用分野はいずれも、デジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みとなる。ただし、ITはあくまで道具に過ぎない。今後のIT活用の流れを考える際には、その背後にある「ビジネス環境の変化」に目を向けることが大切だ。

 デジタルトランスフォーメーションに関連するビジネス環境の変化は多岐に亘るが、その中でも特に注目しておきたいのが、以下の3つである。

シェアリングエコノミー顧客がモノやサービスを共同で利用する形態
クールジャパン日本の文化や技術を海外に訴求する取り組み
自動運転車両制御を活用した新たな販売/流通の手段

 1つめの「シェア(共有)」は日々の生活でも目にする機会が増えている。TV番組の影響などもあり、最近は「シェアハウス」の広告も頻繁に見るようになった。「相乗りタクシー」のニュースを見た方も多いだろう。2つめの「クールジャパン」についても、TV各局が「日本文化が海外で如何に高く評価されているか?」をテーマとした番組を放映している。

 3つめの「自動運転」は利用者の生活だけでなく、日本の基幹産業の1つでもある自動車産業をも大きく変える重要トピックである。この3つの動きは、デジタルトランスフォーメーションの中でも、日本における今後の生活やビジネスに大きな影響を与えるという意味で、代表例と言える。

 次ページのグラフは年商500億円未満の企業に対して、「シェアリングエコノミー」「クールジャパン」「自動運転」についてどのようにとらえているかを尋ねた結果だ。

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