米エバーノートは2014年10月2~3日(米国時間)にサンフランシスコで開催した年次イベント「Evernote Conference(EC4)」で、Evernoteに搭載する新機能「Context(コンテキスト)」について発表した。ユーザーが取り組む作業と関連性の高いニュース記事を自動的に検索し表示する機能で、ユーザーが「賢くなった」と感じる体験を提供する。同社のフィル・リービンCEO(最高経営責任者、写真1)に、コンテキストのような先進技術を取り入れる狙いを中心に聞いた。

(聞き手は岡田 薫=日経コンピュータ


写真1●米エバーノート CEOのフィル・リービン氏
写真1●米エバーノート CEOのフィル・リービン氏
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EC4での発表の目玉となったコンテキストは、ユーザーに何をもたらしますか。

 コンテキストが実現するのは、これまでにない新しいニュースの届け方だ。Evernoteのユーザーが何か作業を行うと、その編集内容に関連性の高いニュース記事を自動的に検索して(Evernoteのアプリケーション内に)表示してくれる。

本誌注:EC4初日の基調講演では、フィル・リービンCEO自らコンテキストについてデモを交えて説明した(関連記事:EvernoteがThe Wall Street Journalなどと連携、ニュース記事を自動検索)。デモでは、ユーザーが編集内容に「Revive(回復させる)」「Restore(復活させる)」などの単語を付け加えると、絶滅危惧種を復活させるプロジェクトに関するThe Wall Street Journalの記事を自動的に表示した)

 重要なのは、リアルタイムに情報を提示できることだ。ユーザーが関連する情報をちょうど欲しているタイミングで、最も関連性の高いニュースを表示してくれる。従来型のニュースの発信方法に比べて、ニュース記事の効果は非常に高くなる。ユーザーの作業を助ける、といった意味で、効果は絶大だろう。

 コンテキストでは、連携する外部のニュースサイトやブログサイトの記事から、関連性の高いニュースを自動的に検索する。同機能の実現に大きく貢献したのが、我々が組織している「AI」専門のチームだ。AIはとても重要な考え方で、今後世界中で発表される主力な製品やサービスにおいて、中心的な価値を担うだろう。

本誌注:リービンCEOが言うAIは「Augmented Intelligence(拡張された知能)」のことで、先進的なITによって人間の問題解決能力を強化するといった考え方を指す。コンテキストの開発には、同社が組織するAI専門チームが大きく貢献しているという)

EC4では、The Wall Street Journalを運営する米ダウ・ジョーンズとのパートナーシップ締結を発表しました。コンテキストが連携するメディアは、主にビジネス向けということですか。

 対象をビジネス向けに限定しているわけではない。Evernoteが提供するのは、作業を行うワークススペースであり、「work」を助ける場だ。「work」には、業務とは関係なく行う個人的な作業や、企業内での重要な業務などが含まれる。

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