米オラクル(Oracle)は「自律化(Autonomous)」をコンセプトに、データベース(DB)クラウド「Oracle Autonomous Database」の拡充を急いでいる。2019年2月にリリースしたDB最新版「Oracle Database 19c」でも自律化機能を強化した。Autonomous Databaseの最新動向について、米オラクル データベース・システム・テクノロジー担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのホアン・ロアイザ氏に聞いた。
(聞き手は森山 徹=日経 xTECH/日経SYSTEMS)
Autonomous Databaseのコンセプトは何か。
とてもシンプルだ。これまでDBはユーザーがハードとソフトを準備して、管理やセキュリティーを担うという面倒臭いものだった。こうした管理の部分をオラクルが引き受けようというもの。例えるなら、自動車を一から組み立てる代わりに、私たちが自動運転車を差し上げる。自分で作らなくてよいだけでなく、運転する必要もない。
ユーザーにとってのメリットは数多い。DBをお守りする時間がなくなるので、その時間をイノベーションに振り向けられる。コスト削減も図れるし、データのセキュリティーや可用性も高まる
Autonomous Databaseの構成要素は。
Autonomous DatabaseはExadata上でOracle DBを動かし、クラウドサービスとして提供する。2つの大きなポイントがある。一つは、Oracle DBが備える自動化の機能をフル活用すること。もう一つは機械学習機能の取り込みだ。私たちは過去10年間にわたって、インフラやDBの自動化を進めてきた。数多くの機能を自動化することが、最終的に自律化へつながる。
機械学習は2つの目的で使う。一つはパフォーマンスの最適化、もう一つは診断だ。
Autonomous Databaseで何ができるのか。
Autonomous Databaseには6つの大きなカテゴリーがある。最初はプロビジョニングで、自動でExadata上にデータベースを作る。スケールアウト型のアーキテクチャーにより、パファーマンスと可用性を高められる。
DBのセキュリティー確保が2つ目で、セキュリティーのライフサイクルを自動化する。リアルタイムで脅威をモニタリングしたり、オンライン状態のままでパッチを適用したり、DBのデータを暗号化したりする。DBだけでなく、ストレージ、サーバー、ネットワーク、OSなど全てにわたり、オラクルが責任を持ってセキュリティーを担保する。
自律型では管理の機能も欠かせない。通常であればDB管理者が行っていた作業の自動化だ。DB設定のチューニング、エラーの診断、パッチ適用などだ。