「顧客の体験(エクスペリエンス)向上の取り組みと同じように、企業は社内コミュニケーション基盤の改善を考えるべき」――。米ガートナーのシニア ディレクター アナリストとして従業員の効果的な働き方などを企業に助言するギャビン・テイ氏は語る。これまで企業が後回しにしていた社内コミュニケーションに意識改革が必要であることを説いた。
経営者の多くが考える社内コミュニケーションとは
テイ氏は、企業の多くが社内コミュニケーションの重要性を理解していないことに大きな問題意識を持っている。「経営者の多くが社内コミュニケーションを、従業員に情報を公開するためのものと考えるため、サービスも技術もその要件を満たすだけになっている」と指摘。導入してから20年以上も経過した電子メールやイントラネット以降、社内コミュニケーションに大きな進化がない理由を説明した。
企業は、社内コミュニケーションに投資しても成果にはつながらないと考え、そのための技術やサービスに予算を振り向けてこなかった。しかし本来は、「顧客へのマーケティング活動と同じように、社内コミュニケーションも改善を繰り返す必要がある」とテイ氏は指摘する。
企業は、商品やサービスを売りたい顧客に対しては、セグメントを分け、最適なマーケティング施策を展開し、結果を評価して次の目標を設定するといったサイクルを繰り返している。このサイクルを社内コミュニケーションにも取り入れるべきというのだ(図1)。