前回は返報性について説明しました。PM(プロジェクトマネージャ)は人を動かす必要があります。このために必要なことの一つに,「返報性」の利用があります。

 6番目のカードは,「『返報性の法則』を利用する」ものです。

問6と解決のヒント

 筆者はこれまで返報性をよく使って,ヒューマンマネジメントを行ってきました。

 「返報性」については「影響力の武器」(ロバート・B・チャルディーニ,社会行動研究会,誠信書房)を参考にされることをおすすめします。社会心理学の有名な書籍なので,ご存知の方も多いと思いますが,記載しておきます。

 さて,今まで6回に渡って,桧山とのエピソードを通して,「カードをヒントにする思考術」について紹介してきました。今回は,その最終回として,「仕事が速いチームの作り方」を桧山に説明したときのエピソードの紹介します。

 今回も,“仕事に役立つ7つの科目”の「(4)ヒューマンマネジメント」に関する「チームビルディング」がテーマです。

 なお,今回紹介する「芦屋式 思考力トレーニングカード7」とリーダーとチームのルール集をこの記事の最後にPDFでご用意しました。会社の研修,教育にご活用いただければと思います。

「仕事の速いチームの作り方」

芦屋: さて桧山,今日が最終日だな。日曜までご苦労様だ。7日しかないから,時間がもったいない。すぐ講義に入ろう。今日は最終日だから,問7として応用問題を解いてみよう。君がPMとして今後プロジェクトを率いていく際に,最も重要になる問題だよ。問7のカードはこれだ。
問7
桧山: 「仕事が速いチーム」ですか…。
芦屋: そう,今までの6回を振り返れば,君なら分かると思うけど…。今回僕は,7つのカードを用意した。でも,一番解いて欲しいのは,この7番目の問題のカードだよ。前の6つは,そのヒントにしてもらえばよいと思って用意した。ここで,今までの6回を振り返ってみるよ。

・1番目のカード:「一体感を醸せない人」向けのカード)
 ---解決策のヒント1:「できるだけ早く一緒に問題を解決する」
・2番目のカード:「有効な関係を構築できない人」向けのカード
 ---解決策のヒント2:「「相手が喜ぶ」ことを相手の目に見えるよう実施する」
・3番目のカード:「他人と対立しやすい人」向けのカード
 ---解決策のヒント3:「自分以外を「悪者」にする断り話法を使う」
・4番目のカード:「この案でOK」と言ってもらえない人」向けのカード
 ---解決策のヒント4:「コントラスト効果を使う」
・5番目のカード:「先読み力がない人」向けのカード
 ---解決策のヒント5:「相手の顔,行動などから「本音」を収集」(ノンバーバルコミュニケーション)
・6番目のカード:「困ったときに助けてもらえない人」向けのカード
 ---解決策のヒント6:「「返報性の法則」を利用する」