前回前々回3回前4回前の4回にわたって"意見を通したい人への5つのアドバイス"を説明しました。

 私の若い部下である小島は,情報システム部長から「開発部の中堅エンジニアの研修カリキュラム」作成を命じられました。しかし,小島は研修企画に必要な「考え方」や「進め方」を正しく理解しておらず,うまく仕事を進めることができませんでした。

 なぜなら,小島は入社してからずっと,システム開発部で下流の設計作業を担当しており,企画の仕事はしていなかったからです。小島がやってきたのは「要件を受けて仕様を詳細化する仕事」であり,彼が今,担当しているのは,「形がないところから仕事を作る・・・企画の仕事」です。

 そこで,この機会に,私は小島に企画の仕事の基本となる「意見を通す技術」を教えながら,「根本検証」を使って「話を固める」手順を説明していました。さて,今回からは彼の研修企画を論理的で実現性のあるものにするために,より具体的に説明していきます。

 今回は“仕事に役立つ7つの科目”の「(5)思考力」に関する「問題解決メソッド」がテーマです。なお,今回のPDFファイルでは「芦屋式「企画作成における論理性面5要素」チェック・シート」を付録として用意しました。上司に「企画などを考えてほしい」と頼まれることのある方はご活用下さい。

人の納得は「論理性面」と「心理面」の2つがある。

芦屋:小島,では今日も昨日の続きを考えよう。昨日の話では,君の考えたことはまだ,かなり緩いということだったと思う。ちょっとホワイトボードをみてごらん。

システム開発部・中堅エンジニア向け研修について(案)

販社システム設計G 小島

1.内容
 システム開発部の中堅エンジニアに販社システム設計Gに研修にきてもらい,営業企画や販社の考えをダイレクトに聴くことで,実感してもらう。

2.狙い・効果
 ・研修を通して,要件定義力,交渉力,折衝力などを向上させる。
 ・研修終了後は,システム開発部に戻って,若手エンジニアにフィードバックすることで,スキル,ノウハウ,思想などをシステム開発部全体に広げる。

3.期間
 ・開始は来年4月より。
 ・研修期間は,一人あたり3ヶ月程度。
 ・一回に1名~2名を想定。

4.具体的な研修(何をしてもらうか)
 ・我々が日常実施している仕事をやってもらう。
(販社向け提案資料作成,システム概要設計,関連部門との会議調整,プロジェクト管理全般など)