前回は,“意見を通したい人”の5つのアドバイスの(2)~(4)を説明しました。


“意見を通したい人"への5つのアドバイス

(1)通そうとする仕事や企画の情報や知識などを調べ,理解を徹底的に深めること。

(2)話を徹底的に固めること。

(3)意見が通る人と通らない人の違いを知ること。

(4)説明のシナリオを作り,会話のパスをたくさん準備すること。

(5)実施後は,改善を行い,必ず振り返りをして人の記憶に残すこと。

 私は岡田を通して小島に「仕事の基礎的なスキル」を付与する指導を行っていましたが,あるとき,情報システム部長から小島に「システム開発部の中堅エンジニアの研修を企画してほしい」と指示がありました。

 この機会を通して,私は,小島に基礎スキルである「仕事を速くする」や,「理解を深くする」,「記憶力を高める」を教えたいと思っていました。そして,この機会に特に教えたいと思ったのが,「意見を通す」というノウハウでした。今回も「意見を通す」の続きとして,小島とのエピソードを紹介します。

 今回は,前回に引き続き“仕事に役立つ7つの科目”の「(5)思考力」に関する「理論構築メソッド」がテーマです。

説明がうまいと意見を通せる可能性が高くなる

芦屋:では続きを話そう。昨日は「(4)説明のシナリオを作り,会話のパスをたくさん準備すること」の途中で終わったな。今日はここから考えよう。まず,質問だけど,君はどんなレベルなら,「説明がうまい」ということになると思う?

小島:そうですね・・・何でもよどみなく網羅的に情報を伝えることができるということかな。

芦屋:それはちょっと違うな。では,僕の考えを言おう・・・究極的には,どんな複雑な内容でもノーペーパーで5分で口頭で説明し相手を納得させられるレベルなら最高だ。

小島:ノーペーパーで5分以内?

芦屋:そう。僕はそれが,仕事ができる人のレベルだと思っている。では,どうすれば5分で理解してもらえるか。それには当然論点を絞らなくてはならない・・・こんな具合に絞る。

・なぜ,その仕事をするのか。しないとどうなるのか?
・いつやるのか。誰がやるのか。その理由は何か?
・具体的にどんなステップでするのか?その合理性(実現の妥当性は?)
・効果はどうか。具体性はどうか?
・その後,将来的にどうなるのか?次は何につながるのか?


小島:ということは,僕の研修企画もそれを網羅した資料にして,うまく説明しなければならないということですか。