大量の電子メール送信への課金を計画している米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は米国時間3月3日,非営利団体に対して料金を免除するプログラムを明らかにした。2種類用意し,「いずれも当社電子メール・システムの機能を(制限することなく)すべて利用可能とする」(AOL)。

 AOLは新たなスパム対策として,同社サービスのユーザー宛てに大量の電子メールを送信する企業から料金を徴収し,送料支払い済みの電子メールはスパム・フィルタを通さずにユーザーの受信箱に届ける仕組みを導入する計画である。しかし,リベラル系市民団体MoveOn.orgをはじめとする様々な団体は,この手法が「インターネットの自由を脅かす」と非難し,団結して抗議活動に乗り出していた(関連記事)。

 AOLは今回のプログラム発表について,「非営利団体が,当社の料金徴収システムを承諾する大規模民間企業と同等の扱いで,AOLメンバーとやりとりするために何をするべきか,これ以上混乱や疑問が生じないようにするためのもの」と説明した。

 2種類の非営利団体向け料金免除プログラムの主な内容は以下の通り。

・AOLのスパム対策および電子メール指針を遵守する非営利団体を対象とし,AOLの「Enhanced White List(強化ホワイト・リスト)」に登録する。電子メールに認定マークは交付しないが,電子メール送信料を支払う企業の電子メールと同等に処理する。当プログラムは,AOLが直接管理し,無償で提供する。

・非営利団体はサード・パーティの電子メール認証サービスを利用し,電子メールの認定を行う。電子メール認証サービス・プロバイダに対する支払いはAOLが負担する。現在数社の認証サービス・プロバイダと交渉中で,「90日以内に当プログラムを導入する見込み」(同社)。

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