米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は,複数の大規模なフィッシング組織を相手に3件の訴訟を起こしたことを,米国時間2月28日に発表した。今回の提訴は,2005年7月にバージニア州が全米で初めて導入したフィッシング対策法などに基づくもの。AOL社はこれらの訴訟で,総額1800万ドルの損害賠償を要求している。

 AOL社は,フィッシング業者が「AOL」および「CompuServe」の会員に詐欺的電子メールを送り,これらのサービスのWebサイトを装った偽サイトに誘い込んだ上で,AOLのスクリーン・ネーム,パスワード,クレジット・カード番号などの個人情報をだまし取ったと主張している。

 米メディアの報道(CNET News.com)によれば,AOL社が提訴したフィッシング業者の拠点は米国,ドイツ,ルーマニアとみられており,数百~数千のフィッシング・サイトを作成したという。AOL社では,当該業者が送信したフィッシング・メールを数万通保管している。

 「フィッシングの手口はますます巧妙化しており,消費者の危険も高まっている。AOL社は,自らの会員を保護するだけでなく,全消費者にとってインターネットが安全な場所であるためにも,あらゆる法的・技術的手段を講じて攻撃者を排除する」(AOL社シニア・バイス・プレジデント兼次席法務顧問のCurtis Lu氏)

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