米連邦情報通信委員会(FCC)の執行局は米国時間11月7日,緊急通報機能「Enhanced 911(E911)」に11月28日まで対応できないVoIPプロバイダもサービス提供を継続してよいと通知した。その一方で,E911機能を提供できない地域において,営業活動と新規加入者の受け入れを行わないよう指示している。

 FCCは6月3日,「VoIP 911 Order」を発令し,11月28日までにE911機能をすべての加入者に提供できないVoIPプロバイダはサービスを停止するように通達していた。しかし,2度の期限延長を経て(関連記事(1))(関連記事(2)),条件付きでサービス提供を認めたかたちとなる。

 米メディア(CNET News.com)によると,VoIPプロバイダは通常の911サービスが利用可能な地域においても,新規加入者を獲得できないことになり,この決定に不満を隠せないVoIPプロバイダが多いという。インターネット・テレフォニに関する非営利組織「Voice on Net(VON)Coalition」の執行ディレクタであるJim Kohlenberger氏は,「E911機能なしに大勢の加入者を抱える電話サービスはVoIP以外にもたくさんある。E911の普及を推進する一方で,VoIPプロバイダに限ってマーケティングを制限するのは不公平」と述べている。

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