米連邦情報通信委員会(FCC)の執行局は,VoIPプロバイダのE911機能提供の義務付けに関し,一部のプロバイダに対して加入者からの同意取り付けの締め切りを30日延期することを認める。FCCが米国時間7月26日に明らかにした。

 VoIPプロバイダは,同年11月末までにすべてのサービス加入者にE911サービスを提供することが義務付けられている。通知規則により,VoIPプロバイダは,サービス加入者にVoIPを介した緊急通報サービスは,従来の地上通信線を使った緊急通報サービスとは異なり,911につながりにくい可能性があることを通知し,同意を得なければならない。

 FCCからの規制により,勧告に対して同意を拒否する加入者へのサービスを停止しなければならない。当初,同意取り付け締め切りは7月29日に設定されていたが,延期を希望するプロバイダは,対応状況のレポートを提出し,FCCが認めた場合に30日間延期できるようになった。

 またFCCは,VoIPプロバイダに対してVoIPを通じたE911に関わる制約の可能性を警告するラベルやステッカを配布することを命じている。加入者は,ステッカをPSTNに接続するVoIP機器の近くに貼ることが推奨される。

 30日の延期を申請するVoIPプロバイダは,8月10日までにFCCにレポートを提出しなければならない。同レポートでは,同意を得るために行った取り組みの詳細,同意を示した加入者数とプロバイダが同意の返信を期待できない加入者数の推定パーセンテージを提示する必要がある。

 FCCは,VoIP業者を対象とするE911の執行に焦点を当てたタスク・フォースの結成を同月25日に発表している。同タスク・フォースは,FCCと公益事業委員会からのメンバーで構成され,VoIP E911命令に関して消費者が自分の権利などを理解するための教材を開発する。また,プロバイダの遵守を支援するとともに,最良事例データの取りまとめや共有に取り組む。

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