米PricewaterhouseCoopersは米国時間10月25日,2005年第3四半期のベンチャ投資に関する調査報告「MoneyTree Survey」を発表した。それによると,2005年第3四半期は,714社に対して53億ドルの投資が行われ,前期の61億ドルを下回ったものの,前年同期の46億ドルから成長したという。

 調査は,米Thomson Financial傘下のThomson Venture EconomicsおよびNational Venture Capital Association(NVCA)と共同で実施したもの。

 2005年1~9月までの投資額合計は163億ドルで,前年同期間の159億ドルから増加した。2005年通年のベンチャ投資は,過去3年間で最も投資額が大きかった2002年の217億ドルと同レベルか,それを上回る見通しである。

 当期は,後期段階のベンチャ企業に対する投資が相変わらず多く,26億ドル(取引対象は248社)に達した。同社によると,「2004年末から増加傾向にある」。立ち上げ段階や初期段階への投資はやや失速して10億ドル(同216社),拡張段階への投資は今年に入って最低レベルの16億ドル(同250社)となった。

 分野別にみると,バイオテクノロジと医療機器を合わせたライフ・サイエンスへの投資が16億ドル(取引対象は155社)で、「過去3年間で最高を記録した2004年に肉薄する勢い」(同社)。

 電気通信分野はここ数年間低迷しており,6億500万ドル(取引対象は65社)。しかし,サブカテゴリの無線への投資は4億5500万ドルで,過去4年間で最高レベルに達した。

 ソフトウエア分野は10億ドル(取引対象は185社)で,前期比では減少したものの,単一業界としては最大規模の投資を獲得した。また,ネットワーキング分野は3億3900万ドル(同34社)で,回復基調に乗りつつある。

 PricewaterhouseCoopers社ベンチャ投資担当マネージング・パートナのTracy Lefteroff氏は,「ベンチャ投資が潤沢にあるわけではないので,より可能性を秘めていると思われる案件に投資が集中している。また,初期段階と後期段階の両方に投資が行われていることから,投資家は長期的および短期的な展望についても配慮していることが分かる」と述べた。

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