米VentureOneが米国時間10月25日に,米国におけるベンチャ投資に関して調査した結果を発表した。それによると,2002年第3四半期における米国のベンチャ投資は取引件数が464件で,規模は39億ドル。過去4年間で最も低いレベルだという。

 調査はVentureOne社が米Ernst & Youngと協力して実施した。

 2002年第3四半期の取引件数は1996年~1997年と同様の数字まで落ちている。前年同期と比べるた場合,投資総額は半減し,投資件数は1/3まで落ち込んだ。

 「投資家は流動資産を保有していない企業に多額の投資を行おうとしない。企業は成長が停滞し,事業を継続してはいるものの,短期間で株式公開したり,買収を実行できるほどの力はない」(VentureOne社Worldwide Research部門バイス・プレジデントのJohn Gabbert氏)

 2002年第3四半期に株式公開を果たした企業はわずか1社で,合併買収の成立件数は35%減少した。2002年第3四半期におけるベンチャ投資と合併買収のうち,ソフトウエア関連企業が35%を占めた。全体的に投資が落ち込んだ四半期にありながら,ソフトウエア関連企業の投資額は28%増加し,12億ドルに達した。中でもビジネス・アプリケーション・ソフトウエア,接続および通信ツールを手がける企業の投資規模は,それぞれ14%と44%拡大した。

 Ernst & Young社Venture Capital Advisory Groupグループ責任者のBryan Pearce氏によると,「ソフトウエア関連への投資増加は,連邦政府のセキュリティ重視をはじめ,企業におけるデータ・センター管理や企業アプリケーション統合への注力が要因となっている」という。

 また,2002年第3四半期におけるベンチャ立ち上げ段階やベンチャ設立段階への投資は143件で,ベンチャ投資全体の3分の1程度にとどまった。そのうち38%はソフトウエア関連企業が占めた。

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