米NanoMarketsが,モバイル機器向け燃料電池の市場に関する調査結果を米国時間9月15日に発表した。それによると,同市場は2006年に立ち上がり,2010年は16億ドル規模,2012年は約26億ドル規模に拡大するという。

 拡大の主要因として,NanoMarkets社は(1)モバイル機器の消費電力増加,(2)バッテリとの併用,(3)大手ベンダーの取り組み,(4)技術の進歩という4項目を挙げる。概要は以下の通り。

・モバイル機器の消費電力増加:
 ユビキタス・コンピューティングやスマートフォンを普及させるにあたり,充電せず長時間駆動できる電力源の不在が障害になっている。燃料電池は,増加するモバイル機器の消費電力に対応できる可能性がある

・バッテリとの併用:
 これまで燃料電池はバッテリを置き換える技術と考えられていたが,現在は,バッテリ充電用や,バッテリと補完し合う電源として導入が進む方向にある。2010年時点でも,燃料電池の80%以上はバッテリとの組み合わせを想定したものになる

・大手ベンダーの取り組み:
 米IBMと三洋電機がノート・パソコン「ThinkPad」へのダイレクト・メタノール型燃料電池(DMFC)搭載計画を発表するなど,大手ベンダーが燃料電池に力を入れている。そのほかに主なところでは,3M,米Cabot,カシオ計算機,富士通,Hitachi and Johnson Matthey社,米Motorola,NEC,韓国Samsung Electronics,ソニー,東芝も開発中だ

・技術の進歩:
 より低温で運用可能な効率の高いDMFCが登場し,モバイル機器で燃料電池を利用することの現実味が増してきた

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