東芝は,「世界初」(東芝)のノート・パソコン用ダイレクト・メタノール型燃料電池(DMFC)の試作品を開発した。東芝が3月4日に明らかにしたもの。「今後もDMFC技術の開発を続け,2004年に商品化を目指す」とする。

 同電池カートリッジは,現在広く使われているリチウム・イオン・バッテリと同様の電極を備えているので,同バッテリの代替品としての利用が可能。燃料がなくなった場合には燃料カートリッジを交換するだけで発電を継続でき,バッテリを充電する必要がない。

 この種の燃料電池は,最も高い発電効率を得るため濃度3%~6%のメタノール溶液を使用する。その結果,燃料タンクが大きくなってしまい,ノート・パソコンなどの携帯機器には向いていなかった。

 そこで東芝は,発電過程で生ずる副生成物である水を使って高濃度メタノール溶液を希釈するシステムを開発し,より高い濃度でメタノールを保存できるようにした。「3%~6%溶液と同じ体積のメタノールを保存するのに,タンク容量を10分の1以下に小型化できた」(同社)。現在の試作品では,50ccの高濃度メタノール溶液で約5時間の連続動作が可能という。

 また同社は,DMFCの小型化するため,燃料の濃度や循環方法,空気供給量などの条件を検討し,最適な運用条件に合致するよう留意したとしている。さらに,パソコンの動作状態をDMFCモジュールで受け取り,電力の需要/供給バランスを取るよう発電量を制御する仕組みを採用した。

 そのほかの仕様は以下の通り。

・出力電力:平均12W,最高20W

・出力電圧:11V

・寸法:275mm×75mm×40mm(容積は825cc)

・重さ:900g

・燃料カートリッジの重さ:約120g(100cc用),約72g(50cc用)

・燃料カートリッジの寸法:50×65×35mm(100cc用),33×65×35mm(50cc用)

 なお東芝はこのDMFCの試作品を,3月12日~19日にドイツのハノーバで開催されるCeBITに出展する。

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