米Intelはノート・パソコン向けのCPUプラットフォーム「Banias」(開発コード名)について米国時間9月10日,明らかにした。

 「Baniasは,まったく新しいプロセサ・マイクロ・アーキテクチャを採用する。“性能”,“バッテリ寿命”,“接続性”,“フォームファクタ刷新”というモバイルにおける4ベクトルすべてを実現する初めてのプラットフォーム」(同社)

 Baniasのマイクロ・アーキテクチャの特徴は,ノート・パソコン向け低消費電力と高性能の両立という。Intel社は,これを実現するため採用する4技術について明らかにした。各技術の内容は以下の通り。

(1)Advanced Branch Prediction:プログラムが過去にどのような動作をしたか分析し,それをもとにして今後要求される命令を予測する。その結果,性能を向上できるという。

(2) Micro-Op Fusion:同時に実行可能な命令が複数あるとき,それらを一つの命令にまとめて性能向上および電力使用効率向上を図る。

(3)Power Optimized Processor System Bus:現在のシステムの多くは,使用していないコンポーネントに対しても電力を供給しているという。それに対しPower Optimized Processor System Busでは,低電圧動作を可能にし,バッファ管理を厳密にすることで,電力を必要とするコンポーネントだけに電力供給を行い,低消費電力を実現する。

(4)Dedicated Stack Manager:内部の演算動作を記録する専用のハードウエアを使い,プロセサが割り込みなしにプログラムを実行できるようにする。

 「これらの技術を組み合わせることで,バッテリ運用時間を犠牲にすることなく,性能を大幅に高められる」(同社)

 Baniasプラットフォームのもう一つの特徴として,デュアル・バンドの無線接続機能を組み込むことが挙げられる。BaniasではIEEE 802.11aとIEEE 802.11bを採用することで,それぞれ54Mbpsと11Mbpsの無線通信を利用可能とする。「このソリューションは現在利用されている無線LANインフラと互換性があり,企業や家庭,空港/ホテル/レストランなど公共の場所にある無線ホットスポットなど,さまざまなネットワークに接続できる」(同社)

 Intel社は,「Baniasプラットフォームに採用する無線LANコンポーネントは,BluetoothとIEEE 802.11bを同時に使用する際の混信を最小限に抑え,スループット,運用範囲,両方式のネットワークに対する応答性を最適化する」と説明している。

 さらに同社は,アプリケーションを終了することなく有線接続と無線LAN接続を切り替えるためのユーティリティ・ソフトウエア「Intel PROSet」を提供する予定という。

 また同社は同日,モバイル用途向けギガビットEthernetコントローラ「Intel 82540EP Gigabit Ethernet Controller」を発表した。自動的に消費電力を低減させる機能を備え,現行のギガビットEthernetコントローラに比べ最大75%消費電力を削減できるという。さらに,有線と無線接続のシームレスな切り替えに対応する。

 同コントローラは同社の「10/100 LAN on motherboard(LOM)」とピン互換なので,パソコン・メーカーはマザーボードの設計を変更せずに,スループットを10倍高速化できる。

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