調査内容 2009年度のIT予算の前年同期比増減(業種別)
調査時期 2009年6月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3211件(1100件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが6月中旬から下旬にかけて実施した,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者向けの調査で,2009年度(2009年4月~2010年3月期)のIT予算の前年度比(全業種平均は27.1%減,7月15日付け記事参照)を,製造,流通,サービスの業種別(下の「■調査概要」参照)に集計したところ,製造業は平均で37.9%減,流通業は同24.0%減,サービス業は同20.9%減だった。

 7月21日公開の記事で紹介した,同じ6月調査での2009年第2四半期(2009年4月~6月,2Q実績)についての回答結果(製造業は前年同期比44.1%減,流通業は同36.1%減,サービス業は同25.3%減)と比較すると,3業種とも2Q実績より2009年度の前年度比の減少率が小さい。2009年度の残り3四半期のIT予算の前年同期比の減少率は,2Q実績より小幅になっていくと予想される。

製造業は3月までに予算削減率を拡大,流通/サービス業も6月には追随

 ただし,3カ月前に実施した前回2009年3月調査と比較すると,製造業の2009年度IT予算の前年度比減少率の平均値は37.9%減で横ばい。それに対して流通業は3月調査(9.7%減)から約14ポイントの大幅な拡大。サービス業は3月調査(14.1%減)から約7ポイント拡大となっている。6カ月前の2008年12月調査での2009年度予算の増減率の予測では,製造業は平均20.5%減,流通業は同12.1%減,サービス業は同14.8%減だった。

 流通業とサービス業の回答者の2009年度予算の減少率の平均値は,2008年12月調査から2009年3月調査まではさほど変動していなかったが,今回の2009年6月調査で大きく拡大。これに対して,2008年12月調査から2009年3月調査の間で減少率の平均値を約17ポイント拡げていた製造業は,今回の2009年6月調査では2009年3月調査の水準を維持した形だ。

 今回の回答の内訳を前回の2009年3月調査と比較すると,製造業は比較的変化が小さく,前年度より予算が増えるとした回答(「110%超120%以内(2割以内の増加)」~「前年度は予算ゼロだったが本年度は予算がつく」)の合計比率が約3ポイント減少し,「90%以上110%以内(ほぼ前年同期なみ)」が2ポイント増加した。

 サービス業も2009年3月調査からの変化は比較的小さいが,「前年度より予算増」側で換算係数が大きい「前年度は予算ゼロだった」と「200%超(前年同期比で倍増以上)」の合計比率が約3ポイント減り,「前年度より予算減」側で換算係数が大きい「完全に削減(ゼロになった)」と「前年度の50%未満に削減」の合計比率が約3ポイント増えたことが,減少率の平均値の約7ポイントの拡大に効いている。

 減少率の平均値が前回2009年3月調査比で約14ポイント拡大した流通業では,「90%以上110%以内(ほぼ前年同期なみ)」が前回の48.6%から今回は31.3%に大きく減り,予算減側(「80%以上90%未満(2割以内の減少)」~「完全に削減」)の合計比率が20.5ポイントの大幅増で58.3%を占めている(ちなみに製造業の「予算減側」の合計比率は71.2%,サービス業は45.7%)。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム分野の予算を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく,年度のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年度比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年度の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年度の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計。なお本調査ではコンピュータ関連業種の回答者にも「自社の業務処理のためのIT投資」について回答することを求めた。
 調査実施時期は2009年6月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3211件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1100件。

図●本年度(2009年4月~2010年3月)予算総計の今年度比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)
図●本年度(2009年4月~2010年3月)予算総計の今年度比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)


■変更履歴
最初の段落で,当初「全業種平均は22.9%減」としていましたが,正しくは「全業種平均は27.1%減」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/10/22 19:20]