調査内容 2009年第2四半期のIT予算の前年同期比増減(業種別)
調査時期 2009年6月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3211件(1100件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが6月中旬から下旬にかけて,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,2009年第2四半期(2009年4月~6月)のIT予算の前年同期比(全業種平均は33.6%減,7月14日付け記事参照)を,製造,流通,サービスの業種別(下の「■調査概要」参照)に集計したところ,製造業の減少率の平均値が最も大きく44.1%減,流通業は同36.1%減,サービス業は同25.3%減だった。

 3カ月前に実施した前回2009年3月調査での2009年第1四半期(1Q実績,2009年1月~3月)についての結果と比較すると,流通業の減少率の平均値が目立って大幅に拡大(約22ポイント,1Q実績の減少率の平均値は14.3%)。製造業は約9ポイント(1Q実績は35.4%減)の拡大。一方,サービス業は約3ポイントの拡大に止まっている。

 サービス業のIT予算の前年同期比の減少率の平均値は,2008年12月調査での2008年第4四半期(2008年10月~12月,2008年4Q実績)が19.4%減。前回2009年3月調査での1Q実績が22.5%減で,今回が25.3%減。6カ月前と比べて6ポイントしか拡大していない。それに対して製造業の2008年4Q実績は22.2%減だったので6カ月で約22ポイント拡大,流通業(2008年4Q実績は5.9%減)は前回から今回にかけての3カ月での減少率の平均値の拡大幅が大きく,6カ月で約30ポイントの拡大となった。

流通業で「予算ゼロになった」が3月の12.5%から6月は25%に

 回答の内訳を3カ月前の調査の1Q実績と比較すると,流通業では「90%以上110%以内(ほぼ前年同期なみ)」の比率が1Q実績(57.5%)から約18ポイント減り,1Q実績で7.5%あった「200%超(前年同期比で倍増以上)」が今回の調査では0票。「完全に削減(ゼロになった)」が1Q実績の12.5%から今回は25.0%に倍増した。流通業で前年同期より予算が減少するとした回答(「80%以上90%未満(2割以内の減少)」~「完全に削減」)の合計比率は,1Q実績の約32%から今回は約52%に拡大している。

 製造業では,比較的小幅な予算減にあたる「80%以上90%未満」が1Q実績(7.5%)より今回は約8ポイント増えるなど,「前年同期より予算が減少する」とした回答の合計比率が1Q実績より約9ポイント拡大した。

 前年同期比の減少率の平均値の拡大ペースが穏やかなサービス業では,回答の内訳も1Q実績と比較して変動が小さい。最も大きく回答比率が変動した選択肢は「前年同期の50%未満にまで削減」の3ポイント減(1Q実績13.4%→今回10.4%)。「前年同期より予算が減少する」とした回答の合計比率は,1Q実績より0.5ポイント拡大しただけである。サービス業のIT予算意欲は,好転こそしていないものの,直近の四半期単位では底を打った感がある。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム分野の予算を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく,四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計。なお本調査ではコンピュータ関連業種の回答者にも「自社の業務処理のためのIT投資」について回答することを求めた。
 調査実施時期は2009年6月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3211件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1100件。

図●最新四半期(2009年4月~6月)予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)
図●最新四半期(2009年4月~6月)予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)