調査内容 2009年第2四半期IT予算の前年比増減,IT予算額
調査時期 2009年6月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3211件(1100件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2009年6月の調査で,回答者が予算執行・承認権限を持つ2009年第2四半期(4月~6月)のIT予算の前年同期比の増減率は,平均-33.6%だった(平均の算出方法は下の「調査概要」参照)。

 2008年第3四半期(7月~9月)(2008年9月調査,2008年3Q実績)に前年同期比平均-3.9%とマイナスに転落して以来,2008年第4四半期(10月~12月)(2008年12月調査,2008年4Q実績)で平均-17.1%,2009年第1四半期(1月~3月)(前回2009年3月調査,1Q実績)で平均-25.7%と,連続してマイナス幅が拡大。今回(2Q実績)で4四半期連続して,前年同期比の予算減少率が拡大した。拡大のピッチも前回が8.6ポイント低下,今回も7.9ポイント低下であまり鈍化しておらず,依然としてIT予算削減傾向の底は見えていない。

「半減以下」の比率は3月調査並み,「2~5割削減」が増える

 回答の内訳を,3カ月前の調査(1Q実績)と比較すると,「前年同期比で(10%以上)予算が増加」側の選択肢の合計比率は5.7%で,1Q実績の9.4%から3.7ポイント減少。「90%以上110%以内(ほぼ前年同期なみ)」の比率も1Q実績より2.4ポイント減(前回39.7%→今回37.3%)で,その分「前年同期比で(10%以上)予算減」側の合計比率が約6ポイント増加(前回50.9%→今回57.0%)した。

 「予算減」側のうち,「完全に削減」と「前年同期の50%未満にまで削減」の合計比率は前回1Q実績の32.9%に対し,今回の2Q実績は33.6%であまり増えていない。比率が高まったのは「前年同期比80%以上90%未満(2割以内の減少)」と「同50%以上80%未満」で,ともに2~3ポイント増えた。

 4月からの新年度を迎え,3月までと比べて「前年同期予算の半分以下」という過激な削減に,新たに踏み込んだユーザーは増えていないようだ。しかし3月まで「前年同期なみ」や「前年よりやや増やす」領域に踏みとどまっていたユーザーの一部が,4月からの四半期では「前年同期比で2~5割減らす」という領域に移動した形だ。

「全社以外」のシステム予算の平均値が第1四半期の約1.6倍

 同じ2009年6月の調査で,回答者が執行・承認権限を持つ2009年第2四半期のIT予算の規模を聞いたところ,「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」(算出方法は下の「調査概要」参照)は約2483万円だった。前々回2008年12月調査での2008年第4四半期の予算額の平均値約2653万円に比べると約6.4%低いが,前回2009年3月調査での2009年第1四半期の予算額の平均値約2365万円と比べると約5%上昇した。

 図示していないが,この2009年第2四半期の「全社システムの予算に執行・承認権限を持つ」回答者(n=285)が回答した予算規模の平均値は約2800万円で,3カ月前の調査での2009年第1四半期予算の平均値約3440万円から約19%減少している。一方「全社以外(部門,事業所,ワークグループ)のシステムの予算」に執行・承認権限を持つ回答者(n=182)の平均値は約1980万円で,2009年第1四半期予算の約1250万円に対して約1.6倍に増えていた。

 とはいうものの,本稿前半で紹介した「前年同期比の予算増減率の平均値」について同様に分析して見ると,「全社システム予算…」の回答者(n=274)の平均値は-34.7%,「全社以外…」の回答者(n=179)の平均値は-33.3%で,両者にはほとんど差がなかった。「全社以外…」のIT投資が2009年第2四半期に復調したと見るのは早計で,2009年第1四半期の「全社以外…」のIT投資カットが激しかった,と解釈すべきなようだ。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。
 新規購入や開発中の案件がなく,四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式(最も近いものを1つ選ぶよう求めた)回答の「完全に削減」を-100%,「昨年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「昨年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 また「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」は,選択式回答の,「予算はない(本四半期はゼロ)」を0,「100万円未満」を50万円,「100万円以上300万円未満」を200万円,「300万円以上1000万円未満」を650万円,「1000万円以上3000万円未満」を2000万円,「3000万円以上5000万円未満」を4000万円,「5000万円以上1億円未満」を7500万円,「1億円以上3億円未満」を2億円,「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
 調査実施時期は2009年6月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3211件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1100件。

図1●最新四半期(2009年4月~6月)IT投資予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,n=453)
図1●最新四半期(2009年4月~6月)IT投資予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,n=453)

図2●最新四半期(2009年4月~6月)のIT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額,n=467)
図2●最新四半期(2009年4月~6月)のIT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額,n=467)