調査内容 主要インテグレーター,システム関連ベンダーとの接触度
調査時期 2008年10月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3124件(1247件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)各68社のイメージを調査したところ,「自分の仕事(職務領域)と接点がある」と感じているベンダー/SIerのトップは「マイクロソフト」(76.8%,前回2008年7月調査では79.2%),2位は「NTT東日本/NTT西日本」(70.3%,前回調査では68.4%),3位は「デル」(60.9%,前回調査では62.8%)だった。

 前回調査,2008年4月調査2008年1月調査2007年10月調査の過去4回の調査と同じ3社が今回もトップ3を占めたことになる。マイクロソフトは初回の2006年10月調査以来,9回連続のトップだ。

 SIerとして回答者に評価を求めた企業の中で「接点がある」という評価で上位30社に入ったのは,前回2008年7月調査,2008年1月調査と同じ「大塚商会」(44.1%,前回7月調査では44.2%)と「NTTデータ」(36.9%,前回7月調査では35.8%)の2社だけ。前々回の2008年4月調査で29位(31.3%)に食い込んだ「NECフィールディング(Fielding)」は,今回は30.3%(n=1218)で,SIerの中では3位を保ったが,ベンダー/SIerのトータルでは32位(前回7月調査では29.5%の34位)。そのFieldingの背後に,キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が今回は0.1ポイント差の30.2%(n=1219)に迫っている。前回7月調査ではFieldingとキヤノンMJは1.3ポイント差だった。

「取引/契約実績あり」上位3社は今回も「接点あり」上位3社と共通

 前々回の2008年4月調査から「接点がある」の内容を,「取引/契約実績がある」,「商談等で接触した」,「商談等の接触はない」に3分割して聞いている。「取引/契約実績がある」率の上位3社の顔ぶれは「接点がある」と同じで,ベンダーがNTT東/西(40.9%,前回7月調査より1.2ポイント・アップ),マイクロソフト(39.6%,同0.4ポイント・ダウン),デル(37.4%,同0.5ポイント・アップ)。SIerも「接点がある」と同じ大塚商会(19.2%,同2.1ポイント・ダウン),Fielding(15.6%,同0.1ポイント・アップ),NTTデータ(14.6%,同0.1ポイント・アップ)の3社が占めた。この「取引/契約実績がある」の比率のベンダー68社の平均は13.2%で前回7月調査比0.1ポイント・アップ,SIer68社の平均は5.9%で同0.3ポイント・ダウン。評価対象ベンダー/SIerを若干入れ替えた(下の「■調査概要」参照)が,全体としては3カ月前の前回調査とほぼ同じ回答傾向だった。

「接点あり」中の「取引実績あり」率が高い国産メーカー系SIer

 「自分の仕事と接点がある」とした回答者に占める「取引/契約実績がある」回答者の比率が高いベンダーは,デルが61.5%(前回調査では58.8%),次いでNTT東/西の58.2%(同58.0%),「富士ゼロックス」が57.4%(同62.0%)。この上位3社の顔ぶれは,前回調査と同じである。

 SIerで「接点がある」回答者の中の「取引/契約実績がある」比率が高い企業は,Fieldingの51.5%がトップ(前回調査でも52.5%でトップ)。次いで「日立電子サービス」の44.5%(n=1214,前回は49.5%でSIer中3位),キヤノンMJが44.3%で3位。前回調査でSIer中2位(50.9%)の「都築電気」は,今回40.6%に落ちたがSIer中7位に付けている。

 「『接点あり』と感じるユーザーの中に『取引実績あり』率が高い」SIerの上位10社を改めて整理しておくと,Fielding,日立電サ,キヤノンMJのトップ3に次いで,富士通エフサス,富士通エフ・アイ・ピー,都築電気,NECソフト,日立情報システムズ,NECネッツエスアイ,ダイワボウ情報システムの順。NEC系が3社,富士通系も3社,日立系が2社で,国産メーカー系のSIerがその多くを占めている。逆にこの比率の下位には東洋ビジネスエンジニアリング(12.5%),シーイーシー(14.3%)といった独立系のSIerが名を連ねている。

受注失敗率トップのベンダーは「セールスフォース・ドットコム」

 「取引/契約実績がある」と「商談等で接触した」という回答者数の合計を100%として,「商談等で接触した」の比率,つまり「商談までの接点はあったが契約していない」,ベンダーやSIerにとっての受注失敗の比率を見たところ,ベンダー68社の平均は29.1%,SIer68社の平均は41.9%で,SIerはやや苦戦している。

 ベンダーの中で「自分の仕事と接点がある」という回答を30票以上得た66社中,この受注失敗率のトップは,意外にも「セールスフォース・ドットコム」の70.4%(取引/契約実績あり21票,商談等で接触あり50票)。次いで「日本NCR(日本テラデータを除く)」が57.1%,「インフォテリア」が55.0%。「EMCジャパン(Documentum,Avamarなどを含む。VMwareは除く)」が52.8%,「アッカ・ネットワークス」が50.0%で,この上位5社までが50%以上だった。

 同じ指標でSIerを見たところ,上位5社は「シーイーシー」が75.0%,「東洋ビジネスエンジニアリング」が71.4%,「富士通ビー・エス・シー」が68.8%,「ネットマークス」が58.3%,「三菱総合研究所(旧ダイヤモンドコンピューターサービスを含む)」が57.1%。前述した「接点ありと感じるユーザーの中での『取引実績あり』率が低い」SIerとほぼ一致する結果だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとSIerの主要企業各68社について,「自分の職務領域はこの企業と接点がある」と感じるか,「ない」と感じるかを聞いた。どちらも選ばなかった回答は有効回答数(図中のn)に含めていない。
 2008年1月調査まで,この設問の回答の選択肢は「接点がある」「ない」の二者択一としていたが,2008年4月調査以後は「接点がある(取引/契約実績がある)」,「接点がある(商談等で接触した)」,「接点がある(商談等の接触はない)」,「接点はない」の四者択一としている。
 グラフには「接点がある」率上位30社を掲載した。評価対象のベンダー68社に対する「接点がある」という評価の平均は30.3%(前回2008年7月調査では30.5%,2008年4月調査では29.8%,2008年1月調査では31.3%)。インテグレータ(SIer)68社の平均は17.1%(同17.1%,17.6%,14.2%)で,ほぼ前回調査と同じである。
 2008年10月調査では評価対象ベンダー68社のリストに,「エムオーテックス」「シトリックス・システムズ・ジャパン」「ネオジャパン」「エーピーシー・ジャパン(American Power Conversion)」「アスーステック・コンピューター(ASUSTeK)」の5社を追加。NECアクセステクニカ,日本インフォア・グローバル・ソリューションズ,ブロケード コミュニケーションズ システムズの3社を除外し,日本ユニシスはインテグレータ(SIer)としての評価対象リストに移行。日本ビジネスオブジェクツ(BusinessObjects)は「SAPジャパン」の評価対象の一部とするよう変更した。評価対象SIer68社のリストには,上記の「日本ユニシス」のほか「アイ・ティ・フロンティア」「EDSジャパン(ジャパンシステムを含む)」「DTSグループ(旧データ通信システム,日本SEなど)」の4社を追加。アルプスシステムインテグレーション,アイネス,三井情報,JBISグループ(日本電子計算など)の4社を除外している(前回2008年7月調査比)。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年10月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3124件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1247件。

図●
図●「職務(情報システム業務)で接点がある」と感じるシステム・インテグレーター,システム関連ベンダー(上位30社)