調査内容 ブレード・サーバーの付加価値への対価(その1)
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年7月調査では,各ベンダーがブレード・サーバーで提供している,あるいは近く提供すると予想される機能,メリット,特徴を約40項目挙げ,回答者が現在担当している情報システムにそれらが必要と考えるかどうかを聞いた。その結果,「100V電源使用」(9月3日付け記事参照),「省電力性」と「ハードの初期コスト低減」(9月2日付け記事参照),「仮想/物理環境の一元監視・運用ツール」や「仮想/物理環境のセキュリティの一元監視ツール」(9月4日付け記事参照),「高可用性環境」や「24時間365日の遠隔自動監視サービス」(9月5日付け記事参照)などの項目に高い必要性が示された。

 ただし,それらを実際に導入するかどうかとなると,その対価が当然問題になる。そこで今回の調査では,各項目に「必要」「どちらかというと必要」と答えた回答者に絞って,その機能の追加やサービスのコストがどの程度までなら採用しようと考えているを聞いた。

 今日の記事では性能,規模,周辺機器,設置条件,消費電力関連の項目について,明日の記事では仮想化や高可用性関連の項目についての調査結果を紹介する。

「性能」関連は20万円,「シン・クライアント」と「グリーンIT」関連は10万円

 今回の調査では,その機能やサービスに対して許容できるコストを,自由記入(単位:万円)形式で回答を求めた。当然のことながら,「0」や「1万円」という回答から「1000万円」,項目によっては「5000万円」まで回答の幅が広く,単純に平均値を計算すると少数の高額回答に大きく左右される。そのため今回は平均値に代わる各項目の代表値として,有効回答数の中で高額回答から順に整列した場合の半数の位置に来る回答の値(中央値)に注目する。併せて下のグラフには,上から4分の1の位置に来る回答の値(第3四分位数),下から4分の1の位置に来る回答の値(第1四分位数)も示した。

 コストについて回答を求める対象とした約30項目の中で,許容できる対価の中央値が最も高かったのは「収容枚数50枚以上の大規模ブレード・シャーシ」の60万円。次いで「1枚(台)で8プロセサ・コア以上を搭載するサーバー・ブレード」の30万円,「Power、SPARC、IPF(IA64)など非x86系プロセサ搭載サーバー・ブレード」,「4プロセサ・ソケットを持つサーバー・ブレード」,「半導体ディスク内蔵(の追加コスト)」の3項目の20万円。いずれも大規模,高性能化に関する項目だった。

 これに次いで高い中央値は「直流電源で使用できるブレード・シャーシ」の17.5万円。「必要」とする回答者の比率が高い「100V電源使用」や「省電力性」などを含め,約30項目の多く(20項目強)の中央値が10万円だった中で,「直流電源」仕様にはやや高めの付加価値が認められる結果となった。

 逆に全項目中最も低い中央値だったのは「ブレード・シャーシに収容できるDVDドライブ」の3万円。回答数が最も多い最頻値を見ると,この「DVDドライブ」は1万円で,やはり全項目中最低額だった。

上下の特異値を除いた平均値では「50%節電」が30万円強,「20%節電」が20万円強

 ちなみに,値が「0」の回答,および百分位で上側99パーセント点を上回る値の回答(高額側の回答で最上位1%に属する回答)を,ともに除外した場合の平均値は,「50枚以上収容の大シャーシ」が160万円弱,「8コア・ブレード」が50万円弱,「直流電源」と「半導体ディスク内蔵」が40万円弱,「4ソケット」と「非x86系プロセサ搭載」が35万円弱。

 「50%節電」が30万円強,「タワー型シャーシ」と「シン・クライアント」用途の2項目と「100V電源使用」と「4枚以下収容の小シャーシ」が約25万円,「20%節電」と「2ソケット」と「10Gbイーサネット・スイッチ」と「テープ・ドライブ」が約20万円,「DVDドライブ」は約6万円だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,各ベンダーがブレード・サーバーで提供している,あるいは近く提供すると予想される機能,メリット,特徴を約40項目挙げ,回答者が現在担当している情報システムにブレード・サーバーを採用する上で必要と考えるかどうかを聞いた。
 各項目について「必要」「どちらかと言うと必要」「どちらかと言うと必要ではない」「必要ではない」の四択とし,「必要」または「どちらかと言うと必要」とした項目に対して,そのコスト,あるいはその機能の追加やサービスに対するコストがどの程度までなら採用すると考えるかを,自由記入(単位:万円)で回答を求めた。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図●必要と思うブレード・サーバーの各機能,メリット,特徴について,その対価として支払う上限のコスト(万円単位で自由記入,その1,性能,規模,周辺機器,設置条件,消費電力)
図●必要と思うブレード・サーバーの各機能,メリット,特徴について,その対価として支払う上限のコスト(万円単位で自由記入,その1,性能,規模,周辺機器,設置条件,消費電力)
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