調査内容 ブレード・サーバーの必要度(その3)
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年7月調査では,各ベンダーがブレード・サーバーで提供している,あるいは近く提供すると予想される機能,メリット,特徴を約40項目挙げ,回答者が現在担当している情報システムにそれらが必要と考えるかどうかを聞いた。3回目の本記事では,仮想化関連の8項目の結果を紹介する。

 今年5月上旬から,x86サーバーの主要メーカーが相次ぎ,仮想化の基盤ソフトとして事実上の標準となっているVMware ESXi 3.5の導入・設定済みサーバーの新製品を発表した。6月にはマイクロソフトからも,Windows Server 2008に組み込まれる仮想化基盤ソフトHyper-Vの正式出荷も始まった。今回まず,これらの仮想化基盤ソフトを導入・設定済みの形ですぐ使えるブレード・サーバーへのニーズを聞いたところ,「必要」と「どちらかと言うと必要」の合計でVMware ESXiが約40%,Hyper-Vでは35%弱。今回設定した選択肢の中では,9月2日付け記事で紹介した「1枚(台)で8コア以上を持つサーバー・ブレード」や「半導体ディスク内蔵のサーバー・ブレード」,「RISCやIA64プロセサ搭載を持つサーバー・ブレード」とほぼ同率で,比較的低い支持率に止まった。

 ただしこの「導入・設定済み機」についての3項目は,「分からない」または無回答とした回答者が多かったため,有効回答数が今回提示した約40項目のワースト3を占めているのも,回答傾向の特徴と見るべきだろう。逆に「分からない」や無回答とした回答者が少なく有効回答数の上位を占めたのは,9月3日付け記事で紹介した「100V電源使用」や「ブレード・シャーシに収容できるDVDドライブ」,「同テープ・ドライブ」といった項目だった。

 「全物理資源と仮想化ソフト上の仮想環境の全てを一元管理できる監視・運用ツール」と,「物理資源,仮想化ソフト,仮想環境へのセキュリティ脅威を一元監視・排除するツール」に対しては,高いニーズが示された。一元監視・運用ツールは「必要」とする回答者が21.0%で,9月2日付け記事で紹介した「5万円以下のブレード」や「25万円以下のシャーシ」といったハードの初期コスト低減へのニーズとほぼ同率。セキュリティ監視ツールには「必要」と「どちらかと言うと必要」の合計で約60%の支持が集まり,9月3日付け記事で紹介した「100V電源使用」や9月2日付け記事で紹介した「省電力性」に次ぐ高率だった。

物理-仮想移行や仮想-仮想移行は「必要」15%

 監視系のツールに比べて,「仮想化ソフト上の仮想環境の性能を引き出すチューニング・ツール」は「必要」とする回答の比率がやや低く17%強。しかし「どちらかと言うと必要」の率は監視系のツールとほぼ同じ4割弱に達している。

 仮想化環境の立ち上げ時に役立つとされる「既存の物理サーバー環境を複製して仮想化ソフト上に移行できるPtoVツール」と,そこからさらに利用を拡大する際に役立つとされる「仮想化ソフト上の仮想環境を複製して増強・移行できるVtoVツール」に対しては,ともに「必要」が約15%,「どちらかと言うと必要」が35%強で合計50%強の支持率。ハードの初期コスト低減へのニーズより7~8ポイント低いという結果だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,各ベンダーがブレード・サーバーで提供している,あるいは近く提供すると予想される機能,メリット,特徴を約40項目挙げ,回答者が現在担当している情報システムにブレード・サーバーを採用する上で必要と考えるかどうかを聞いた。回答方法は各項目について,「必要」「どちらかと言うと必要」「どちらかと言うと必要ではない」「必要ではない」の四つの選択肢から一つを選択するよう求めた。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図●ブレード・サーバーの持つ機能,メリット,特徴の必要度(その3,仮想化関連と管理ツール)
図●ブレード・サーバーの持つ機能,メリット,特徴の必要度(その3,仮想化関連と管理ツール)