調査内容 2008年第1四半期のIT予算の前年同期比増減(利用者規模別)
調査時期 2008年3月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3200件(1174件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2008年3月調査で,2008年1月~3月四半期のIT予算の前年同期比を回答者の企業規模(下記注釈参照)に比較したところ,システムの利用者数が「1000人以上」の大規模ユーザーでは前年同期比11.5%の大幅増を記録したのに対し,「300人以上1000人未満」の中規模ユーザーは同マイナス5.1%,「300人未満」の小規模ユーザーも4.0%のマイナスとなった。

 中規模ユーザーは過去6回の調査のうち2007年3月調査(2007年1月~3月期)が有効回答数30件未満で参考値だが,これを含めても今回が初のマイナス。小規模ユーザーは前々期(2007年7月~9月四半期,2007年9月調査)のマイナス4.6%,前期(2007年10月~12月四半期,2007年12月調査)のマイナス1.6%に続き,3期連続で小幅ながら前年同期比のマイナスが続いている。

 初回の2006年9月調査(2006年7月~9月期)以来,この大中小の3つに規模を分けた集計で前年同期比マイナスを記録したのは,2006年12月調査(2006年10月~12月期)の大規模ユーザーのマイナス6.3%と,前述の前々期および前期の小規模ユーザーの合計3回だけ。2分類の前年同期比が同時にマイナスを記録したのは今回が初めてだ。

 回答の内訳を前回2007年12月調査と比較して見ると,中規模ユーザーは「前年同期比で予算増」とした回答者の合計比率が前回の22.1%から24.1%に拡大,「前年同期比で予算減」とした回答者の合計比率も前回の27.2%から28.6%に拡大している。前回調査の平均12.5%増から今回マイナス5.1%に転落したのは,「前年同期の予算はゼロ(今期は予算が付いた)」という回答が前回の6.8%から今回は0%に縮小,逆に「完全に削減(前期は予算ゼロでなかったが,今期はゼロになった)」の比率は前回の1.7%から今回は4.6%に約3ポイント拡大したことが大きく影響している。

 大規模ユーザーでは,「予算減」側の回答者の合計比率は前回調査とほぼ同じ(約2ポイント減)で,「予算増」側が約13ポイント拡大した。「前年同期の110%超120%以内(2割以内の増加)」が6.7ポイント,「200%超(倍増を超える)」が4.0ポイント,それぞれ前回2007年12月調査より拡大している。

 小規模ユーザーの回答傾向は前回調査からあまり変動がないが,「ほぼ前年同期なみ」の比率が5.5ポイント縮小,「前年同期比で予算減」とした回答者の合計比率が6.2ポイント拡大した。その半分以上は「前年同期の50%未満にまで削減」の比率が前回の7.2%から今回10.8%に増えたところによるものである。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。
 新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「企業(利用者)規模」は,「回答者が担当・関与する情報システムを利用している就業者数(従業員,パート/アルバイト,派遣就業者を含む)」について聞いたものである。
 なお,2006年9月調査(2006年7月~9月期)は「全社情報システム担当者」の回答のみだったのに対し,2006年12月調査(2006年10月~12月期)からは「部門/事業所/ワークグループ・レベルの情報システム担当者」の回答も含んでいる。
 調査実施時期は2008年3月中旬,調査全体の有効回答は3200件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1174件。

図●最新四半期(2008年1月~3月)予算総計の前年同期比増減率(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額,利用者規模別)