調査内容 IT関連キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
調査時期 2008年1月下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2414件(1035件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスでは,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いている。2008年1月は,「PMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)」,「vPro(ヴィープロ)」,「レガシー・マイグレーション」について調査した。

 「PMO」は組織内のプロジェクト全体を統制し,個々のプロジェクト・マネジャを支援する恒久的な組織のこと。一過性のプロジェクトから得られた経験の蓄積・再利用や,プロジェクトに第三者的な立場から助言や監視・評価を与えることも,PMOの役割とされている。

 今回の調査では,用語としての認知や理解については,この調査で今回の分を含め登場した51種類の用語の中で中位レベル。しかし業務への影響度と利用状況のスコアは高めだった。特に利用状況の「全社的に運用」(11.3%)と「一部で運用」(18.0%)を合わせた約3割という値は,2007年7月調査の「SLA」,2006年10月調査の「KM(ナレッジ・マネジメント)」,前回2007年12月調査の「ERP(統合業務パッケージ)」に肩を並べる。

 「vPro(ヴィープロ)」は米インテルが2006年9月に発表した,セキュリティ機能や運用管理機能の高い企業向けパソコンのブランド。今回の調査では認知度スコア,業務への影響度スコア,利用状況スコアの3指標とも,この調査で登場した51種類の用語の中で“下から10番以内”という結果だった。特に認知度についての設問で「vPro」に「業務に通用する知識がある」とした回答者はわずか1.6%。2007年10月調査の「AIR」(アドビ),2007年8月調査の「XBRL」に次ぐ低い値だ。ただし認知度の低い用語の中では,「vPro」に「ある程度理解している」(13.0%),「聞いたことがある」(27.4%)を選んだ回答者の比率が比較的高いのは特徴的である。

 アプリケーション・プログラムはできるだけ改変・再構築せず,基盤のハードウエアやOS,ミドルウエアだけを新製品に切り替えて延命しようという「レガシー・マイグレーション」。メインフレーム用の自社開発アプリケーションを対象にして語られる場合が多い。

 今回の調査の結果では,「レガシー・マイグレーション」は認知度スコア2.5点,業務への影響スコア3点で,「PMO」と同様に中位クラス。業務への影響で「自分の業務と関わる」という回答は約30%と比較的高い(51種類の用語中12番目)。また応用/利用状況で「一部で運用」という回答の比率も約15%と比較的高め(同11番目)。しかし「一部で試験運用中」が2.4%と際立って低い(下から6番目)。限定的に普及・浸透してはいるものの,今後適用のすそ野が大きく広がっていくというものではなさそうだ。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT関連の最近のキーワードの認知度,自身の業務への影響をどう見ているか,回答者の所属組織での利用状況を聞いた。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。
 調査実施時期は2008年1月下旬,調査全体の有効回答は2414件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1035件。

図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度

図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響

図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況