調査内容 IT関連キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
調査時期 2007年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2515件(1009件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスでは,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いている。2007年12月の調査は,「PLC(高速電力線通信:Power Line Communication)」,「UISS(情報システムユーザースキル標準)」,「ERP(統合業務パッケージ)」を取り上げた。

 LANケーブルの代わりに電力配線を使って通信する「PLC」は,企業の情報システムでも,ホテルや製造業の工場など,無線LANのアクセスポイントが設置しにくかったり電波ノイズが強い環境での導入事例が出ている。しかし今回の調査ではPLCについて,企業情報システムの担当者の認知度は高いものの,導入/利用面ではまだ関心が低いという結果が示された。

 認知度の点では約55%の回答者が「ある程度理解している」としており,「日本版SOX法」(2006年9月調査),「生体認証」(2006年12月調査),「Windows Vista」(2006年11月調査)に次ぐ4番目の高さ。認知度スコアでもこの3語や後述の「ERP」,前回2007年11月調査での「シングル・サインオン(SSO)」に次ぐ高いスコアをマークしている。

 ところが応用/利用状況についての設問では,90.8%の回答者が,導入計画すら「具体化していない」とした。認知度の設問で「聞いたことがない」とした回答者を除外して聞いている応用/利用状況の集計で,9割を上回る回答者が「具体化していない」としたのは,この調査で「PLC」が初めてだ。

 IT技術者のスキルを職種や専門分野ごとに明確化・体系化する指標として,2007年9月のこの調査で「ITスキル標準(ITSS)」を取り上げたところ,「自分の業務と関わりがある」とした回答者が約35%,「全社的に運用」「一部の部門,業務で運用」とした回答者も合計で約20%と,業務への影響度や利用状況の設問で高いスコアが示された。

 そこで今回の調査では,企業の情報システム担当者にとってはITSS以上に身近な指標となるはずの「UISS(情報システムユーザースキル標準)」についての認知や影響度,利用状況を聞いてみた。結果は,ITSSが約5年の歴史を持つのに対し,UISSは経済産業省が2007年6月に策定したばかりのためか,認知度の低さが露呈。「聞いたことがない」とした回答者が60.8%という高率だった。

 ただし残りの約4割の回答者はその重要性を認知しているようで,自分の業務と「将来関わる可能性がある」という回答が58.1%。応用/利用状況は「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」がいずれも2%~3%程度で,前述の「PLC」と同様の低スコアだった。

 「ERP(統合業務パッケージ)」はユーザー企業の情報システム担当者にはさすがに周知のキーワードで,「聞いたことがない」という回答者はわずか7%弱。当然認知度スコアは「Windows Vista」を上回り「日本版SOX法」,「生体認証」に次ぐ過去3番目の高さだった。

 応用/利用状況スコアも2007年7月調査の「SLA」,2006年10月調査の「KM(ナレッジ・マネジメント)」に次ぐ過去3位。特に「全社的に運用」が15.6%で,2007年9月調査での「マスター統合/コード統一」(13.8%)を抜き調査開始以来の最高値。「一部で運用」の比率も16.9%と高く,「全社的に運用」「一部で運用」の合計比率(32.5%)も調査開始以来の最高値だった

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT関連の最近のキーワードの認知度,自身の業務への影響をどう見ているか,回答者の所属組織での利用状況を聞いた。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。
 調査実施時期は2007年12月中旬,調査全体の有効回答は2515件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1009件。

図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度

図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響

図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況