伝説のITリーダー名内泰三氏による連載『プロマネに贈る「泰蔵の一日一句」』では、プロジェクトマネジメントのエッセンスを句に込めて紹介している。今回は“SE/マネジャー魂”を詠んだ句と名内氏による解説を紹介しよう。

■口下手でも、顧客と一緒に汗をかけ
 顧客に信頼されるSEや設計者には、何といっても高度な技術力や幅広い業務知識の獲得を目指す努力が求められる。さらに、顧客の担当者とさまざまな場面で情報交換したり、折衝したりしなければならないだけに、“顧客と親しくなる”努力も欠かせない。

 対人関係が苦手なSEや設計者が少なくないなかで、誰にでもできる一番着実な対応方法は、顧客の担当者と一緒に汗をかくことである。顧客が苦労していたら、自分の時間を犠牲にしてでも一緒に悩み、考え、手伝う機会を増やす。時には、残業に付き合うくらいのことをすれば、顧客との会話も増え、顧客からの信頼感も高まり、相互の絆も強化されるだろう。同時に、顧客業務に対する理解も深まっていく。

■マネジャーは冷徹に考え、情熱を持て
 新規業務システムや、大規模システムに対応する場合は、プロジェクト開始前から多角的に問題点を洗い、それに対する備えをしなければならない。「これは何とかなる」などとは一切考えず冷徹に状況を見極め、最悪の事態を想定した対策が必要である。

 しかし、経営革新や社会インフラの整備などに大きく貢献したシステムは、いずれも多くの困難に挑戦し、それらを乗り越えて実現されてきたのだから、新しいシステムに挑戦する情熱を失っては、社会の進歩も技術の進歩も止まってしまう。

 冷徹に危機に備えながら、情熱を持って難システムプロジェクトに挑戦したいものだ。

プロマネに贈る「泰蔵の一日一句」---“マネジャー魂”編

顧客との運命共同体を築け(309~315日)
顧客との運命共同体を築け(316~322日)

顧客折衝における、相手と論拠とタイミング(323~329日)
顧客折衝における、相手と論拠とタイミング(330~336日)

自分を追い込み、自分を育てる(337~343日)
自分を追い込み、自分を育てる(344~350日)

常に基本を大事にし、冷徹に考え、情熱を持て(351~357日)
常に基本を大事にし、冷徹に考え、情熱を持て(358~365日)