今回は、SEとしての成長を目指して、個々人がなすべきことについて言及する。SEにとって大事なことは、業務知識と技術の深耕はもとより、視野の拡大を目標に、よく考え、よく学び、よく質問し、そして積極的に提案し、発表する、といった努力を継続することである。こうした地道な努力を通じてこそ、SE力の強化が図れるのだ。

337日目●何よりも業務理解を深めよう

 業務の理解を深めよう。SEは、ITの知識だけでなく、担当システムに関して、その業務が何のために必要とされ、顧客にとってどんな意味を持っているかをきちんと理解しなければ、まともなシステムは実現できないだろう。

 特にある業種を専門にするSEなら、まずは業種知識の獲得に役立つ専門書を探して読み、自分なりにまとめてみることである。それも、「1週間に何ページ読む」といった目標を立て地道に取り組む必要がある。また新聞・雑誌などで、当該業界に関する記事を見たらコピーしたり、意味が分からなければ専門用語集を自分なりにまとめたりする努力も大事だ。

 さらに業務のプロである顧客に、業務内容をその目的を含めて積極的に尋ねたい。尋ねることで業務の理解も深まるし、SEの前向きな努力も評価されるようになるだろう。


338日目●質問を課して業務に強くなれ

 積極的に質問しよう。発表会や研修会で質問するのは、一般に内容がよく理解できている者である。内容がきちんと把握できない者は質問もできない。「質問できる人は、よく分かった人である」というのが、逆説的実態だ。従って、顧客の業務説明会に参加するときは、必ず1件は質問するという習慣を身に付けたほうがよい。

 「質問しなければ」と思えば、いい加減に話を聞いているわけにはいかないし、必死に理解しようという気持ちになるので、さらに理解が深まる。説明会以外でも、顧客に会うときは、業務に関する質問、特にその業務の必要性や目的の理解のための質問を、最低1件は必ず聞くことを自分に義務付け、少しでも顧客業務の本質的理解に近付く努力をしたいものである。


339日目●背伸びして語れば力ついてくる

 あえて顧客に語りかけよう。SEが新しい技術力を身に付けたり、新しい業務知識を増やすためには、地道でたゆまない勉強が当然必要であるが、SEは目前の仕事が忙しく、勉強の計画はとかく途中で挫折しやすい。従って、自発的に勉強するよりも、むしろ勉強しなければならない状況に自らを追い込み、仕方なく勉強するほうが、知識は身に付きやすいと思う。

 自分を追い込む一番の方法は、理解が不十分でも、あえて顧客に自分の意見を話したり提案したりすることだ。自分の理解がどこかで間違っていて顧客から批判されれば、その不名誉を挽回すべく必死に勉強せざるを得なくなるため、勉強にも魂が入り、成果も充実するはずである。業務を完璧に理解してから提案や説明をしようと考えているとすれば、おそらくいつまでたっても提案や説明はできないだろう。


340日目●ささやかな提案積めば実を結ぶ

 顧客に積極的に提案しよう。プリSEは、提案力を身に付けることが大きな課題だが、費用や納期を無視するならともかく、顧客が満足しビジネス的にも成り立つ提案となると、一朝一夕で身に付くほど簡単なことではない。地道な提案経験の積み上げと、多角的な思考が求められる。

 従って、顧客からの要請や指示がなくても、“いつでも、どこでも、どんなことでも、場面に応じて、どういう提案をすればよいか”を考え、常に何らかの提案をする努力を続けることから始めたい。

 積極的な提案を繰り返すうちに、それに必要な洞察力が身に付き、思考の幅も広がり、しっかりと骨太の優れた提案ができるようになるだろう。