2010年、ITproの中で話題となったニュースや解説記事が最も多く、数多くのアクセスを集めたのがスマートフォン分野である。2010年前半はiPhoneやiPad、後半はAndroidに関連するニュースや解説記事がそれぞれ週間アクセスランキングの上位にたびたび顔を見せた。ランキング上位をスマートフォン関連の記事が独占したこともあったほどだ。
特に、携帯電話事業者各社のスマートフォン冬モデルが続々登場し始めた2010年11月以降は、スマートフォン関連のニュース記事が上位にないことの方が珍しい状態だった。そんなわけで、2009年までは「ネットワーク」カテゴリの一部として扱ってきたスマートフォンを、2010年は独立したカテゴリとして集計した。
iPhone/iPad陣営とAndroid陣営は現在、世界規模で激しく市場シェアを争っている最中であり、2011年もこのまま激しいつばぜり合いが続くことは必至である。日本に目を向けると、特に出荷台数という点ではまだiPhoneがAndroid勢に大きく差を付けている状況となっている。だが、ランキングを眺めてみれば一目瞭然、「勢い」や「話題性」という点ではAndroidの圧勝であり、「2010年はAndroidの年」だったと断言できる。
ランキング10位までのうち、実に9本がAndroid単独、あるいはAndroidを話題の中心として扱った記事となっている。iPhone/iPadが関連する記事といえば、かろうじて8位に入った「【記者の眼】1994年に似ている、iPhoneとAndroidの今」の1本だけ。この記事もiPhone単独ではなく、iPhoneとAndroidの両方について述べたものだ。対象を20位まで広げても、iPhone/iPadが主役である記事は4本のみという状況である。
だが、画期的な端末やOSの登場によって、容易に形勢が逆転しうるのがこのスマートフォン分野の特徴である。2011年、米アップルが満を持してiPhone/iPadの画期的な新端末やOS、新機能などを投入し、出荷台数のみならず記事の本数でもAndroid陣営を再び大きく引き離す---。そんな事態が起こっても何ら不思議ではない。
話を2010年のランキングに戻そう。Androidがここまで勢いを持つことになった理由として、「様々なメーカーから多様な機能やスタイルを持つ新端末が続々と登場していること」と、「誰でも無償で開発環境を入手できて取っ付きやすいオープンソースのアプリ開発環境が用意されていること」の2つがあることに異論を唱える人はいないだろう。
実際のランキングにもこのことが如実に現れている。ランキング1位に入った「【Androidレポート】出そろった国内Androidスマートフォン3機種を比較する」や、ランキング2位に入った「【Androidで広がる、携帯アプリ開発の世界】第2回 Androidアプリ開発、事始め」を筆頭に、新端末のレビュー記事やアプリの開発に関係する記事がいくつもランクインしている。