2:携帯各社の無線LANエリアが10万規模に
スマートフォンの進展によるトラフィック増加対策として、携帯各社の無線LANオフロードの取り組みが加速している。携帯各社の公衆無線LANサービスのエリアは、10万規模へと拡大しつつある(図2)。
ソフトバンクモバイルは、自社の公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」のエリアを2012年3月末までに25万カ所へと拡大した。また端末契約者に無線LANルーターを無償配布し、ユーザー宅では固定網を経由してインターネットを利用できるような取り組みを進めている。
KDDIも公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」の拡充を進め、2012年3月末までに全国で約10万カ所にスポットを広げた。宅内対策にも力を入れ、同社が無償貸与する無線LANルーター「HOME SPOT Cube」は、6月時点で約70万台を出荷したという。
NTTドコモの取り組みは、他の2社に比べて若干遅れている。ドコモの公衆無線LANサービス「docomo Wi-Fi」は、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)のインフラを活用。エリアは2012年4月時点で約8750カ所だが、2012年9月までには約7万カ所に増やす計画。将来的にはドコモも12万~15万スポットをターゲットとしている。
都心部では10万スポットを超えると、わざわざアクセスポイント(AP)を探さずとも、自然に無線LANにつながるケースが多くなる。ただしスポット数が多くなるにつれ、AP同士の干渉の影響が顕在化し、あまりパフォーマンスが出ないエリアも目立つ。
5G対応、エントランス回線に差
携帯3社の公衆無線LANサービスは、(1)5GHz帯への対応、(2)エントランス回線の2点に違いがある。
5GHz帯に対応しているのは、現時点ではNTTドコモ(802.11a/b/g)、KDDI(802.11a/b/g/n)の主要エリアだ。5GHz帯は2.4GHz帯と比べて干渉の影響が少なく、相対的にパフォーマンスが良い。ソフトバンクモバイルのスポットは、現時点では5GHz帯対応がほとんど見られず、802.11b/g/n対応がメインだろう。
エントランス回線に着目すると、有線回線を使うスポットと無線回線を使うスポットではパフォーマンスに違いがある。
NTTドコモのほとんどのスポットでは、光回線を利用している。これに対してKDDIとソフトバンクモバイルでは、それぞれモバイルWiMAX、1.5GHz帯のDC-HSDPAを利用しているエリアが多い。KDDIとソフトバンクモバイルが急速にエリアを拡大できた理由の一つは、エントランス回線に無線を活用したことだろう。ただしパフォーマンスの面では、光回線に比べて不利になる。