18:どの企業にもセキュアなゲスト接続用無線LAN
ここ数年、あまり大きな動きが無かった企業向けの無線LAN。日経コミュニケーションが毎年実施している企業ネットワーク実態調査でも、無線LAN導入済みの企業と導入しない企業が2極化し、ここ数年はほとんど変化がない状況が続いている。
だがここに来て、状況が変わりつつあるようだ。企業向けの無線LANソリューションを展開するベンダーによると、「これまでの4~5倍の引き合いが来ている」(メルー・ネットワークスの井上祥二リージョナルセールスマネージャー)という。これはスマートフォンやタブレット端末の進展によって、企業ユーザーの間でも無線LANのインフラに改めて取り組む必要性が出てきたことが背景にある。
私物の端末としてスマートフォンやタブレットを利用する従業員も増えている。ただ、いわゆるBYODの流れが押し寄せているように見えるが、「今目立っている案件はBYODの一歩手前。無線LANのゲストアクセスをしっかり管理する案件が増えている」(アルバネットワークスの池田豊コンサルティングエンジニア)という。
これまで多くの企業では、ゲストアクセス用のアカウントは、共通のゲストID、パスワードを用いることが多かった。しかしこのような体制では、誰が、いつ、何をしたのかといった管理ができない。そこで企業向け無線LANベンダーは、ゲスト向けに個別のアカウントを発行するような認証管理の機能の強化するソリューションに力を入れている。
19:無線LANもクラウドで導入、1ユーザー数百円
企業ユーザーの間では、IT資産を所有するのではなく、サービスとして利用する流れが加速しつつある。そんな流れがついに無線LANにも来た。三井情報とKDDIなどは、無線LANの認証基盤、無線LANコントローラー、さらには無線LAN APまでをサービスとしてワンストップで提供するサービスを6月に開始したからだ(図13)。
「Wi-Fiクラウドサービス」と名付けられたこのサービスは、「ユーザー当たり月に数百円」(三井情報 プラットフォームソリューション事業本部 市場開発部の立田和久氏)という料金で、ワンストップで企業向け無線LANの導入が可能になる。IEEE 802.1X認証のほか、ゲストへのワンタイムパスワードの発行といった機能も備える。認証基盤、無線LANコントローラーはクラウド上で共用。無線LAN APはそれぞれの企業ごとに導入し、その管理運用をサービス提供者が一手に引き受ける。
このサービスは、既に三井物産が国内12拠点に導入。AP数は600程度である。1万人弱の従業員が利用しているという。