東日本大震災から1年あまりが経過し、IT関連ソリューションにおいて「事業継続」というキーワードを見る機会も少し減ってきた感がある。だが、事業継続とは自然災害などの突発的な事象への一時的な対策だけでなく、「ビジネスを取り巻く様々な環境変化に対し、安定したビジネス活動を維持するための取り組み」を指す。

 折しも、この7月2日から関西、中部、北陸、中国、四国、九州の各電力管内で政府の節電要請に基づく節電期間が始まった。こうした状況をどう乗り切るかも、事業継続対策の一環といえる。そこで今回は、東日本大震災から1年が経過した時点での企業における事業継続に対する意識を俯瞰(ふかん)し、事業継続に関連したITソリューションを検討する際のポイントについて探っていく。

中長期視点での計画的な取り組みがまず大切

 次のグラフは年商500億円未満の企業に対し、「事業継続を実現するためのIT活用」に関する状況を尋ねたものである(図1)。ここでの「事業継続を実現するためのIT活用」とは、データバックアップ、遠隔地へのシステム複製、データセンターなど堅牢な設備へのシステム移行などのITインフラの維持に関する取り組みを指す。調査を実施した時期は、東日本大震災からおよそ1年が経過した2012年2月末~3月初旬である。

図1●事業継続を実現するためのIT活用の状況
図1●事業継続を実現するためのIT活用の状況

 注目すべきなのは、「担当/計画を明確にした上で既に実施または準備を進めている」という回答の割合が、年商50億円以上の企業層で60%を超えており、年商5億円以上~50億円未満の中小企業層でも40%、年商5億円未満の小規模企業層でも30%をそれぞれ上回っていることだ。

 東日本大震災以降も国内各地で中小規模の地震が続き、その後のタイ洪水では製造業が大きな打撃を受けた。こうした経験から、大企業だけでなく、中堅・中小企業や小規模企業においても「中長期的な視点での事業継続対策」への意識が高まっている。まず、これが一つ目のポイントだ。

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