ストレージというと、昨今では「ビッグデータにも対応できる専用アプライアンスの大企業における導入」や「個人やビジネスマンによるオンラインストレージサービスの活用」といったトピックが話題になる。
いずれも、データの処理や共有における新しい潮流といってよい動きだ。その一方で、企業内に蓄積される従来型データも増加しており、それらの格納場所である既存のストレージも喫緊の課題となっている。そこで、今回はこうした「足元のストレージ」の現状と今後について考えていく。
中小企業でもRAID対応LAN接続型ハードディスクが当たり前
まず、ストレージ活用状況を形態別に俯瞰(ふかん)してみよう。次のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業に対し、「今後導入を予定している最も重要なストレージの形態」を尋ねた結果を、年商別に集計したものである(図1)。

この結果の中から、注目すべきポイントを年商規模別に詳しく見ていくことにする。
■年商5億円以上~50億円未満の中小企業
この年商規模の企業で最も多くを占めるストレージの形態は、「LAN接続型ハードディスク」である。
中小企業では、必要とされるストレージの容量が少なくて済む。そのためPCやサーバー、もしくはサーバーに近い役割の共用PCに内蔵されたハードディスク容量で足りてしまうことも多い。別筺体のストレージに求められるのは、バックアップ先としての役割だった。
だが近年では、バックアップ作業の効率化やデータ共有による業務効率化といった利用者側のニーズと、メーカー側の差別化戦略が重なり、ネットワーク接続が可能な外付けハードディスク(ここでは「LAN接続型ハードディスク」と呼ぶ)が数多く登場した。
中小企業であっても、データを安全に保管したいという意識は高い。そのため、中小企業向けのLAN接続型ハードディスクでも、RAIDへの対応は当たり前と言って良い状況になっている。バッファローやアイ・オー・データなど外付けハードディスクで高いシェアを持つメーカーは、LAN接続型ハードディスクでも高いシェアを堅持している。