年末も押し迫り、あちこちのメディアが、2018年の振り返りと2019年の予測を掲載している。デジタルマーケティングの世界も、これに変わりはない。

 海外のメディアが発表した総括記事をいくつか読むと、2018年のデジタルマーケティングに関わる共通項が見えてくる。その一つが企業の「データとの向き合い方」だ。

 2018年5月に欧州で施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)は、データを活用する企業に大きなインパクトを与えた。企業が自分たちのビジネスで使う顧客データの位置付けとその利活用の仕方を、世界的規模で再確認する必要に迫られたからだ。GDPRがきっかけとなって、デジタルマーケティングの方向性を見直した企業も少なくない。

 米大手個人信用情報機関のTransUnion社が、英国で実施した調査の結果を見ても明らかだ。「GDPRが契機となって、企業が顧客のセグメント(共通の消費者属性や特徴を持つ集団)を重視するようになった」という。しかもマルチチャンネル(複数の顧客接点)を活用したアプローチを始めたことが浮き彫りになっている。

 この調査は、英国の100人のマーケティング意思決定者を対象にしている。その約3分の2(66%)は「顧客個人へのパーソナライズされたアプローチからセグメント単位へのアプローチにシフトした」と回答した。さらに78%が「セグメント単位、もしくは既存顧客をより深く理解することをベースにしたアプローチが、GDPR施行以降により重要になった」とも回答している。

 背景にあるのは、GDPR施行以降のマーケターが、個人情報を利用して顧客に直接アプローチする手法を取りづらくなったこと。その代わりに、個人に直接ひも付かない情報を活用して、顧客をセグメントに分けてそれぞれに最適なアプローチをする方向に変わってきている。そして顧客接点として活用しているのが、オウンドメディアを中心としたコンテンツマーケティングであり、ソーシャルメディアである。

 さらにパーソナライズされた施策は、既存顧客に向けてCRM(顧客関係管理システム)内データを活用するものに変わってきた。結果的に見込み顧客と新規顧客、既存顧客ごとに、データの活用やアクション手法を使い分けるようになっているのだ。

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