米国で、B2B企業が顧客企業のために設置したEコマースサイトを通じて製品やサービスを販売する「B2B企業のEコマース化」が急速に進んでいる。

 「米国B2B企業のEコマース(B2B eCommerce)での、2018年末にB2B企業の売り上げ全体の12%に当たる1.1兆ドル(約123.2兆円)を突破したようだ」――。2019年1月にForrester Researchが、こうしたリリースを公開した。さらに2023年までにB2B eCommerce市場は1.8兆ドルに成長し、B2B企業の売り上げ全体の17%を占めるという予測も公開した。

 Forresterの予測に限らず、B2B eCommerce市場にはこれからさらなる成長が期待されている。背景には、EコマースをB2Bでの取り引きに使おうとする購入元企業の割合が、まだそれほど高くないことがある。

 2019年4月に米DigitalCommerce360が発表したデータによれば、「米B2B企業の購買担当者が、製品調達に使う手段として『Eコマースサイト』を挙げた割合は7.2%だった」という(編集部注:調査結果は同社サイトで個人情報の入力後にダウンロードできる)。一方で「半分近く(49.3%)は、まだ何のテクノロジーも活用していない『Manual Transactions』だった」という。これら担当者を取り込むことに成功すれば、B2B eCommerce市場はさらに拡大するといえるだろう。

 B2B eCommerceの市場規模が拡大する理由は、大きく二つが考えられる。一つはB2B企業の購買担当者を含む調達関係者の多くが、デジタルを介した購買に抵抗を感じなくなり始めたことが挙げられる。業務の効率性から、デジタルで調達できる商材にはB2B eCommerceを使う企業はさらに増えるだろう。

 二つめは、Eコマースで調達する企業に向けて、B2B eCommerceプラットフォームが必要な機能を実装し始めたことがある。具体的には「購入前の見積もり」や「得意先別の商品や価格などのコントロール」、そして「掛売り対応」や「上長による承認」といった、B2Bならではの細かな対応を可能にする機能である。もちろん企業間取り引きの基盤として、安全性を担保することも必要になる。

 購買元企業の担当者のニーズと、B2B企業が使うeCommerceプラットフォームの機能整備が合致したことで、B2B eCommerce市場が拡大しているといえる。

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