「2018年の全世界のEコマース市場規模は、約2兆8600億ドル(約319兆5000億円)だった」――。米Digital Commerce 360はこんな調査結果を明らかにした。2017年度(約2兆4300億ドル = 約271兆5000億円)と比べて、18%増加したという。
同調査結果によると、「2017年から2018年にかけての小売市場全体の成長率は3.3%である」という。ここからもEコマース市場が大きく成長していることが分かるだろう。
全世界の小売市場の総売上に対し、Eコマースの売り上げが占める割合も高まっている。「2016年でEコマースの占める割合は11.3%だったのに対し、2018年は15.2%となった」という。この割合は、今後もますます高まると予想される。
Eコマース市場が活発になるほど、デジタル広告市場も活性化する。米国のデジタル広告業界では以前から、2019年に大きな転機が訪れると予想されてきた。米国内の広告市場で、デジタル広告の市場規模が旧来のマス広告の規模を上回るというのだ。
米eMarketerが2019年3月末に発表したレポートも、その予想を裏付けている。「2018年の米国デジタル広告は、約1086億ドル(約12兆1300億円)で全広告費の48.6%を占めていた。2019年にこの割合は54.2%となる」という。さらに2023年には66.8%となると予想する。こうなると広告を利用する企業は、利用者とのコミュニケーションを”デジタルファースト”で考えなくてはならない。
もちろん単に広告をデジタルにシフトすれば、デジタルファーストになれるというわけではない。Eコマースの売り上げは、広告ではないものからも大きな影響を受けているからだ。
英Nostoは、2018年11月から2019年1月にかけて調査した、世界のファッション系のEコマースサイトのトラフィックや売り上げなどから、「トラフィックの34%、注文の28%、そして売上の26%は、検索もしくはソーシャルメディアからもたらされている」という分析結果を公開した。企業が検索結果として“見つからないこと”、あるいはソーシャルメディアに“存在していないこと”は、売り上げの大きなマイナス要因になると指摘しているのだ。