企業はテクノロジーを積極的に活用し、自らの競争力を上げなくてはならないといわれる中、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が、近年になって盛んに使われるようになった。これは日本に限った話ではない。

 米KPMGが2018年11月28日に発表したデータでも、デジタルトランスフォーメーションは経営課題トップ10の2位にランクされていた(28%)。調査は全世界の1000人の企業経営者に聞いたもので、1位の「オペレーションコストの削減(31%)」に次ぐものだった。

 こういった数字でも分かるように、海外の企業は日本よりも前からデジタルトランスフォーメーションの重要性を考えてきた。しかしはるか先に進んでいると思われがちな海外の企業が、順調にデジタルトランスフォーメーションを進めているかというと、そうでもないことが見えている。

 米Datalink社が2018年9月に米IDGと協力して実施した調査結果にもその一端が見えている(編集部注:調査結果はリンク先ページ内のボタンから閲覧できる)。これによるとデジタルトランスフォーメーション(同調査では「IT Transformation」と呼んでいる)に関して、15%の企業が「視野には入っているが、まだ検討を開始していない」と回答した。

 さらに「『検討を始めたが、具体的なアクションに至っていない』と回答した企業が29%だった」という。つまり44%の企業は、アクションを何も起こしていないことになる。

 アクションを起こした企業をもってしても、デジタルトランスフォーメーションを成功させる道のりは平たんではない。Datalinkの調査では、デジタルトランスフォーメーション関連のプロジェクトについて「何らかの困難があって、プロジェクトが失速、もしくはなくなったことがある」という問いで、51%の企業から「Yes」との回答を得ている。

 しかも調査では、「Yesと答えた企業のうち、1万人以上の従業員を抱える企業が65%に上った」という。つまりこの傾向は、大企業によく見られるといえるだろう。

 「プロジェクトを妨げる要因」として、最も多く挙がったのは「インフラやプロセス、ツールの古さ」だった。さらに「データプライバシーやセキュリティ的な問題」、「サイロ化されたテクノロジー」と続いている。

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